365日をJ棟で

サラリーマンの諸々日記。買い物、音楽、日常。

日記ちゃん。スタレビ。(2023/11/27)

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フジロックぶりのスターダスト★レビュー、というかフジロックぶりのコンサート鑑賞。

ひょんなこと、というか大きなトラブルから行くことに。元々は母が2人の伯(叔)母と行く予定にしていたが、直前に叔母が怪我してしまったことで参加が難しくなった。叔母は今回の"ブギウギ ワンダー★レビュー"ツアーに何公演も遠征している根っからのスタレビファンであり、私もフジロックの後にもLINEで感想を送って単独公演も興味がある旨を伝えていたので白羽の矢が立った次第。

スタレビといえば「夢伝説」「今夜だけきっと」「木蘭の涙」に馴染みある方が多いかと思う。現に私もその3曲しか知らずにフジロックに行ったし、今回もライブアルバムをザッとなぞったぐらい。ご本人たちも「ヒットソングがございませんので」と自虐するほどだが、40年もメジャーシーンに居続けられるのは簡単なことではないよね。

パフォーマンスは素晴らしいと呼ぶほかなく、70〜80年代のバンドブームで一握りのメジャーデビューを掴んだことだけあって、本当に、本当に演奏も歌唱もレベルが高い。現在は正メンバー3人、サポート2人で活動している。(4人目の正メンバーであるパーカッションの林"VOH"紀勝さんは闘病のため今回のツアーはお休み)

バンド全員が色んな楽器(ボーカル)を取れる強みというのはTENDREのバンドセットを観た際に強調したことではあるが、スタレビはVo.根本さんを除く4人も"ちょい歌い"のレベルではないほど複雑かつ美麗なコーラスワークをこなしていた。なんだったらオープニングは5人全員が前に出てマイクを握るドゥーワップのスタイルで始まるぐらいには、ピュアなボーカルグループだ。途中、ザ・モンキーズとザ・タイマーズ(忌野清志郎)の両グループに敬意を表した"デイドリーム・ビリーバー"のアカペラカバーは圧巻だった。

バンド名がジャズスタンダードの"Stella By Starlight"から取られていたことはつい最近知ったが、やはり世代が世代なこともあって根本さんの根底にはジャズやブルース、モータウンやツアータイトルの"ブギウギ"があるのだと染み入った。それらのテイストをJ-POPとロックが上手いことミックスしたスタイルに落とし込み、スタレビならではのスパイス(主にギャグ)を足した、どこにも存在しないサウンドになっていた。強いて言うなら3時間半の公演のうち1時間は喋ってたぐらいには、ギャグ要素が多いかもしれないけれど…

根本さんも「40年もやってると、みんなからレジェンドだって言われたりするもんだろ。小田和正さんも、松任谷由美さんもレジェンドだ。でも俺たちは決してそうは呼ばれないんだよ。なんでかって、笑いを取りに行っちゃうからなのよね」と半ば悔しそうに言うが、確実にレジェンドへ両足から突っ込んでいるバンドでしょう。

 

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幕間の休憩もステージ脇に捌けず、延々トークをしているという不思議な空間。

ベテランアーティスト故、当然のごとく観客もベテランな方が多い。30歳である私の両親世代が中心で、叔母のように長年追い掛けている人が多い。曲中のコール&レスポンスや手拍子のタイミングは完璧で、1,500人ちょっとの会場が一体となって大盛り上がり。

とりわけ興味深かったのは、普段のツアーではあまり演奏しないシングル曲やアルバムの埋もれた楽曲たちをメンバーの選曲で演りますコーナー。長年ファンをやっていると「そこまで知名度は高くないけど、私は好きだ」という曲、一つや二つあるかと思う。そういうナンバーを拾ってくれるのは楽しいだろうし、実際観客の反応も大きかった。しかも公演ごとにセットリストが日替わりで異なるという、長年の活動による潤沢な楽曲数/数百数千に上るライブ経験があるからこそ成し遂げられる業だった。(ライブを通して譜面も全く見ていなかった)

先述の"夢物語"と"今夜だけきっと"のような、大衆にも届いた十八番は箸休め的なインターバルとして挟まれており、それほど会場が盛り上がらなかったのは逆に面白かった。ただ、"木蘭の涙"は先日亡くなったKANさんへ捧ぐという想いもあり、ステージも客席も哀しみと温かさ、その両方に包まれていた。

そんなこともあって、私のような新規ファンにはちょっとハードルの高い現場だなとは思いつつも存分に楽しんだ。

 

デビュー年こそ違えど、年齢層は近いのでは。

ふと考えるのが、スタレビの知名度と評価。ヒット曲は持っているが、いわゆるスマッシュヒットがなくオーバーグラウンドにあまり出てこない存在と認識している。実力は有り余るほどあるし、実際強く評価する声も多いバンドではある。

しかしEarth, Wind & Fireに対するTower Of Power、THE BEATLESに対するTHE BEACH BOYS、マイケル・ジャクソンに対するプリンス、ももいろクローバー(Z)に対する東京女子流のように、サザンオールスターズに対するスターダスト★レビューというポジショニングがあるように感じている。(適切な並びかはさておき、あくまでも個人的な印象です)

いわば「音楽にそれほど興味がない人でも知っているアーティスト」と「音楽が好きだと公言している人でさえ嗜好の範囲が被らなければ知らない可能性すらあるアーティスト」の区分けがあり、その間に大きな壁があると感じる。もちろん、後者はそのジャンルを少し齧り始めれば真っ先に出くわす代表的なアーティスト達でもあるのだが。

 

要は歯痒いのである。サザンは評価されすぎている!と言うつもりは一切、本当に毛頭もなく、スタレビが評価されなさすぎてないか?の方である。私もサザン大好きだし。もはやギャグ度の違いか…?と思うも、マンピーのG★SPOTなんて歌ってるサザンのカマし方も相当なものでして。

とはいえ、これはもう時流やらタイミングやらなんやらの次元だと思うし、そもそも私が生まれる遥か前から活動しているバンドが当時どのように評価されていたかなんて、人から見聞きするだけでは掴みきれない。

スタレビが紅白に出てドラマの主題歌やって…みたいな世界線はどこかにあったとは思うが、どうこう言っても仕方ない。今、応援したいと思ったならそうするだけ。解散後や死後に「やっぱりスゴかったんだ!」などと持ち上げることは私にとって、とんでもなく空虚である。好きなアーティストは精一杯応援し続けたい。

 

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寿司うま〜。

そんなこんなでスタレビのツアーはまだまだ2024年の春まで続くようなので、健康長寿でまだまだ皆に元気を振る舞ってほしいと願っております。

ポップミュージックにおけるエンターテイメントの究極形、その一つだったな〜。