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サラリーマンの諸々日記。買い物、音楽、日常。

日記ちゃん。スナーキー・パピー。(2023/3/23)

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Snarky Puppy(スナーキー・パピー)の来日公演に行った。ビルボード大阪。

スナーキーはベーシストのマイケル・リーグが主宰する、音楽コレクティブ。名前を知った10年ぐらい前は「ジャズ+フュージョン+ファンク+アフロ+ダンス」みたいな触れ込みがされていたと思うが、多種多様なジャンルのアーティストともコラボを重ねた結果、今やワールドミュージック…いや、スナーキー・パピーという一大ジャンルとして君臨している。グラミー賞も4回獲っている。

 

スナーキーが流行るきっかけの一つとなったのは、間違いなく2014年の『We Like It Here』だろう。特に「What About Me?」「Lingus」の2曲はYouTubeで跳ねに跳ねた。クセになるリフと爽快感あるメロディーの「What About Me?」は、フュージョン少年だった私には天変地異級の衝撃だった。昨年のフジロックで来日していたコーリー・ヘンリーの名を世界に知らせたと言っても過言ではない「Lingus」も、いまだに聴くたび脳が熱くなり声が出るほどの快演だ。

ラーネル・ルイス(ドラム)の「緊急参加のため(ほぼ)ぶっつけ本番でレコーディング」というエピソードも相まった本作、バズるというワードは存在しなかった時代、スナーキーは明確にバズっていたのではないだろうか。(その前作『Family Dinner Vol.1』にて、ブレンダ・ラッセルの「Something」をカバーするレイラ・ハサウェイの特殊唱法がTwitterで非常に大きな話題となっていたが)

 

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今回は初期からのコアメンバーが中心で、編成としては小ぶり。

スナーキーにハマってから『Family Dinner Vol.2』『Culcha Vulcha』あたりまではCDを買っていたし、コピーバンドで「What About Me?」「Something」を演奏したりもした。メンバーであるボブ・レイノルズは存命のサックス奏者で最も憧れた1人で、2019年にサラ・ガザレクの来日公演で帯同した際には2セットを予約してボブ眼前の席に齧り付いたものだった。

ここ数年はスナーキーの活動は追いかけておらず、アルバムもApple Musicのライブラリに入れはするけど聴けていない状態。ヒップホップに傾倒したり、最近は国内のポップスに興味関心が向いていたり、お世辞にも熱心なスナーキーのリスナーとは言えない。実は今回の来日公演でセトリのメインだった『Empire State』もあまり聴き込まずにビルボードへ向かった。

 

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チケット販売開始日にスマホを連打し、首尾よく前から2テーブル目を予約できた。

とはいえ、私にとって初めて生で聴くスナーキーにはワクワクが止まらなかった。来日公演は基本的に東京近辺で、タイミングや金銭の兼ね合いで一度も観ることは叶っていなかった。

メンバーが入場し、生のマイケル・リーグだ!クリス・ブロックだ!ジェイ・イェニングスだ!マイク・マヒャーだ!クリス・マックイーンだ!ジャスティン・スタントンだ!と情報処理が追いつかない状態。

とにかく出音が良いバンドだった。世界中でおそらく1,000は優に超えるだろう回数のライブをこなしてきたバンドなので、場数によるオーディエンスの支配力やサウンドエンジニアリングが堅すぎる。それこそ数百回は演奏している曲でも初見のように集中し、互いの立ち回りに気を配って反応し合う点も世界トップランナーたる所以か。

なによりリーダーのマイケル・リーグはステージ中央から全メンバーに笑顔で視線を回し、インプロビゼーションの終わりも合図はしっかり出し、ベーシストとしてもリーダーとしてもバンドの屋台骨として機能していた。

 

Xavi、聴きたかったけど演らず。東京では演奏したのだとか?

長く待ちすぎたのか、実感が湧いていないのか、目の前で繰り広げられる最高級の演奏を前に叫び声を上げつつも、どこかポワァ〜っとしている自分がいた。アンコール前はあの「What About Me?」で、10年前の興奮と眼前の景色を行ったり来たりであまり記憶がない。

フジロックのコーリー・ウォンのように我を忘れて熱狂し倒す感じはなくて、感慨に溺れるような1時間半、よかったなぁ〜…と染み渡るコンサートだった。先日ジェイコブ・コリアーがDjesseシリーズを完結させたのと相まって、自分の青春時代を一旦は締め括る、そんな前向きな気持ちになれた。スナーキー・パピーよ、大阪に来てくれてありがとう。

(個人的にはフジロックに来てほしいタイプのアーティストではある。ヘブンで観たくないっすか?)