怖いもの見たさじゃないけど、怖いもの買いたさってあるじゃないですか。デファクトスタンダードみたいなのがあって、これを買えば幸せの確度が高いことが保証されているのに、あえて同じ値段の全然違うブランドに手を出しちゃう、そんなの。
京都イージーというTシャツ屋さんがある。どんなTシャツ屋かって、そりゃホームページを見れば一目瞭然。夥しい情報量、目がチカチカするほど文字が多い。京都の衣類店で生まれ育ったおっちゃんのTシャツに対する情熱が込められた蒸し暑い文章に、誰しもが気圧されること間違いなしだろう。
Fruit of the loomとUnited Athleの公認販売店でもある京都イージーは、オリジナルのTシャツも多数リリースしている。レーベルは様々だが、基本的には国産であることを強くアピールしている。とはいえ、国粋主義(≒ザ・大和魂)のあまり他国製を否定したり、他メーカーを貶したりといったことは極めて少ない。つまり文章量の多さは愚痴や誹謗ではなく、単に自社製品への愛に起因している。癖が強い割にフラットな見方で物作りに向き合っている点に、私は好感を持った。
なんだったら品質vs価格面で国産では絶対に実現できないという理由で中国製のオリジナル品もリリースしているし、フルーツやアスレも取り扱うに値する理由をしっかり述べた上で販売&オススメしているしね。
今回買ったのはオリジナルである"nuts"レーベルのシルバータグ。ベース価格は3,990円で、タグ無し版だと500円安くなる。インナー用として3,490円というプライスゾーン、今までほとんど買ったことは無かったかな。
例によって商品ページも情報量で溢れているので掻い摘むと、40番手の双糸を度詰めで編んだ、約6オンスのコットン100%天竺生地。
旧式織機でゆっくり、しかし度詰めなのでテンションをかけてギッシリと編む。明記はされていないが、ページ上の情報から和歌山のメーカーで編んでおり、なおかつ織機の写真が掲載されていることから、いわゆる吊り編み生地だと思われる。表面に不均一な凹凸感があるが、ザラつきは無く柔らかい。また洗って乾燥させて目を詰まらせると真価を発揮しそう。というかTシャツって500円の安物でも新品状態はめちゃくちゃ手触り良いしね、一度洗ってからが本番よ。
同じ吊り編みTシャツとなるとGraphpaperの定番で8,000円、WASEWとかでも5,000円オーバーなので、割と3,490円ってバーゲンプライスではある。糸や縫製の仕様を含めてのトータル勝負だから、単純比較はしちゃいけないけどね。
首の詰まりもビタリ。リバースウィーブとよく合う。シャツと合わせることを考えると、あと数ミリほどリブが細いのが好みだけど許容範囲。
結局は上に何かを着る前提なので、肝心の着心地は「あまりよくわからない」のが正直なところではあるけれど、少なくとも安っぽいオープンエンド系のザラつきやチクつきは全く感じられない。ストレスも何も一切合切を感じないということは、それだけ着心地がフリーだということでもある…?
シルケット加工ほど滑らかではないけれど、スムースな手触りのTシャツにありがちな着た際のヒンヤリ感が無いので、秋冬も問題なく着たいタイプ。オールシーズンOKな、まさに「ちょっと良い肌着」として素晴らしいポジショニング。
あとは洗いを繰り返して、1〜2シーズン使った際のヨレや劣化具合との相談にはなるけれど、個人的にコットン100%の肌着は無印とユニクロをやめて、今後コレで統一してしまっても良いような気がしている。(アウターTシャツはビーフィーとユニクロUの定番Tで良いかなと)
繰り返しになるが、あまりにも暑苦しいホームページに対して、思いのほかニュートラルなおっちゃんという点が面白い。
有名どころのTシャツに飽きてきた方、一発どうでしょう。