365日をJ棟で

サラリーマンの諸々日記。買い物、音楽、日常。

J.M. Weston 598 "Half Hunt"を購入。

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ダハ〜、物欲の解放が止まんねぇ!

夫婦で揃ってタンス預金をバラ撒きまくっている。私は細々とした浪費をしているし、妻はボッテガのバッグを買って貯金が爆発。更には、来年初頭に友人夫婦とフロリダへ行くことが決まった。

それなのに、である。

 

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J.M.Weston 598 "Half Hunt Derby" 7D

J.M.ウエストンの598。ハーフハント、デミシャッセ、あるいはロジェIIと俗称が多い。外羽根のUチップで、既に所有している641(ゴルフ)に近いジャンル。ラストがシュッとしており、カントリー(狩猟)がモチーフながらもドレスに履けるという売り文句がされがち。

私にとっては、2足目のウエストンである。

 

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カラーはコーヒー、いわば深い茶色。パティーナ・フィニッシュと名に付くように、部位によって茶色の中にパティーナ…使い込んだような濃淡がある。嫌味なく、自然なグラデーションが素敵。ブラックからの置き換えが割とスムーズに出来る暗さなので、今のワードローブにも落とし込みやすい点が気に入った。

素材はソフトカーフと銘され、従前ダークブラウン系のカラーに採用されていたノヴォカーフの後継らしい。箱を見ると"Vegano"の文字が。なるほど、アノネイのベガノカーフ。ソフトカーフだなんて、そんな後ろ暗い名前にしなくても…と思ったが、デュプイのボックスカーフと定価が同じで敢えてアノネイを選ぶ人は稀少か。

個人的にはリーガルの01DRCDで魅力を知って好きになった革なので、嬉しい驚きだった。

 

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バスタン社の超硬い革製ソール。指で叩くとパコンパコン鳴る。

足裏はレザーソール仕様。ダブルソールがドン!と構えており、もう見た目からして無愛想。土踏まずの「くびれ」も無く、当然ピッチドヒール/ヤハズ仕上げ/ベベルドウエストなんてドレス的な色気とは無縁。なんだったら雨や塵の侵入を防ぐストームウェルトまで付くし、トゥスチールに至っては標準装備である。

それでも重さ(垢抜けなさ)を感じないのは、後述のトゥ形状と同じでメリハリがキチンと計算されているから…と勝手に考えている。Dウィズなのもあるかな。中々インスパイア系が一朝一夕で生み出せるものではないと思うし、だからこそライトアングルモカ+スキンステッチ+くびれたラストという一目で凄味の分かるドーヴァー風シューズばかりが生み出されるのだと、これまた勝手に思っている。適当ですよ。ゴルフ/シャンボード風やハーフハント/アヴィニョン風もあるにはあるしね。

え?単にインスパイアされるほどの憧れがウエストンやパラブーツには無いって?そりゃ納得いかんのう…(クラコウジア語)

 

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598も641も、大分類としてはUチップに括られる2足。

598はモカが立たない平面的な造りで、爪先のスプリットトゥと併せてステッチワークの印象が強くなる。規律正しく走る三兄弟ステッチ…と思いきや、真ん中の運針だけピッチが広い。デザイン性、強度の確保、何かは分からんが小技が効いている。

641のモカは言うまでもないよね。4年間も履いたのに未だにU字が一才崩れないところに、ウエストンのクラフツマンシップの真髄があると思う。

 

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爪先は丸っこいが、アッパーの上面がウエルトに向かって急降下する影響か?わずかにチゼルトゥっぽく感じるのは気のせいかしら。もちろん先端は横一文字ではなくカーブしているが、上記の写真の光の筋から、すぼみ感(?)が伝わるだろうか。

私はポッコリしたラウンド〜エッグトゥが好きで極度に変形したラストは苦手だが、300(ストレートチップ)のセミスクェアトゥに同じく、ボヨンとしつつも微妙なスパイスを入れてくるウエストンが好き。

 


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ちょっとしたシミや色ムラもある。

良いことづくめの598だが、この個体には少しばかりの瑕疵がある。写真の通り右足はU字にシワが寄っており、土踏まず周辺も吊り込みも甘いのか?波打っている。左足も若干の波打ちは出ているが他は特に問題なく、左右で目立つ差ではある。

数回履けば気にならなくなる部分とは言いつつ、この辺はビジュアル的に「ややっ」となるのは否めない。

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綺麗な表情でんなぁ。

サイズは7D。641は7Cを履いているので、ウィズ上げになる。私は幅細め、甲も高くはないが、右足の方がハーフサイズほど大きい。そのため、多くの靴で「左に合わせると右が破裂しそうになる」「右に合わせると左が緩くなる」という悩みが発生する。641は右足に痛みが出ないサイズだが、ウィズが選べたことによってボールジョイント部のフィッティングが良いためか、左足も緩くならない。

598はどうだろうか。店頭&自宅で足を入れた限り、両足ともにギッシリ詰まっているが痛みや無理は感じない。やはりウィズが合っていることもあるのか、左右差はほぼ無い。

履き始めの641は薄手のロングホーズでもガチガチに足が固められていたが、今や中厚手のリブソックスでも無理のないフィット感である。その経験も踏まえ「最初の時点でジャストなんだったら将来は…」と考えたが、右足の締まり具合を考慮して7Dがベストと判断した。やはりサイズ合わせは一筋縄ではいかないし、集合知が自分に合うかも履かなきゃ分からない。なるべく試着はした方が良い。

懸念としては、両足ともに羽根が閉じ気味になってしまうこと。これはタテヨコ云々より598が少し甲の高いラスト21を採用しているから、タンパッドで対応している人も多いよ、とスタッフよりコメントがあった。総合的には、641に採用されているラスト31が自分に合っていると感じる。

 

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写真のネタ切れ。

それでも598を履きたいって気持ちに嘘は付けないよね~。今回もハナからウエストン以外は候補になかった。贔屓…ってほどのものでもない、たかだか2足だし。

今やウエストンを含む靴ブランドは価格改定が激しい。上を見ればジョンロブ、エドワードグリーン、ガジアーノ&ガーリング、リーバー等がいるのは相変わらず。一方で過去(私が641を買った4年前)には一段下の価格帯だったチャーチ、オールデンあたりは、いつしか同価格帯として並ぶようになった。国内ブランド(≠国産)ならカルマンソロジー、プレミオゴルド、レユッカス、三陽山長(極)…そう考えると、まだまだウエストンは堪えている部類に見えてくるような?

 

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…価格云々を言うてますが、これ並行輸入品なんですよね。店頭で試着しておいて、この野郎!という怒りはごもっとも。安かったもんで…(ポイントも使い定価の1/2以下で購入)

前述の瑕疵云々も、これで検品通るんだ…とファクトリーのQCは気になるものの、この値引き率なら問題とは感じない。正規ルートでは弾かれて帰ってくるような品が、安さ重視の並行輸入屋に飛んで行くのだろうか。ちなみに梱包も1枚目の写真の通り、簡素な段ボールだった。この荷姿でファクトリーから出荷して、店舗で検品がOKなら化粧箱(昔はグレー、今はブルー)に詰め替えるのかな?化粧箱のまま輸送して、箱に傷が入ったら厄介だもんね。

なんにせよ、造りが良いと感じる641は路面店で購入したので、端正な個体が欲しければ正規店でぜひ。

 

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まさかここにきて、もいっぺんウエストンを買うことになるとは思ってもいなかった。相変わらず妻は私の暴走を止めてくれない…

そんなこんなで、カジュアル面の革靴に関しては、この2足で当面は大満足かも。雨やタフに歩き回る日はロイドフットウェアがあるし、ドレスアップな日はリーガルの01DRCDが完璧だし、バーウィックのローファーは痛みがキツくて手放すことにしたし。

598も早く履き下ろしたいけど、あのカチカチに硬いソールとアッパーが屈曲する姿を想像しただけで踵が熱く燃えてくるので、クリームを入れつつミニ散歩を繰り返すことにしましょう。徒歩4分のコンビニにすら辿り着ける気がしない。