365日をJ棟で

大学院生の諸々日記。なるべく、のんびり。

Terrible Animals / Lage Lund (Criss Cross, 2019)

Terrible Animals / Lage Lund

Terrible Animals

Lage Lund (Gt)
Sullivan Fortner (pf)
Larry Grenadier (B)
Tyshawn Sorey (Dr)

Criss Cross Records, 2019

 

Lage Lund(ラーゲ・ルンド、ラゲ・ルンド)に関して   

 ギターの指板をほとんど見ず、虚空を見つめながら演奏するイケたスタイル。(本人曰く、天井のタイルを数えているんだとかいないんだとか)

 

ノルウェー出身NY在住のジャズギタリスト、ラーゲ・ルンドジュリアード音楽院の歴史上初めてエレキギターでジャズ科に入学したという、異色の経歴を持っています。

サイドメンとしての参加作品を含め、精力的にアルバムをリリースし続けている39歳(2019年現在)です。北欧的な顔がタイプなのよね、アタシ。

箱モノのギターから出る透明感のある音色、迷いを感じない流麗な手さばき、先鋭的なリズム・和声のコード弾きを織り交ぜた演奏が特徴…おそらく。

ラーゲの名前は数年前から知っていたし、演奏も時たま聴いていたものの、これまで参加作はほとんど聴いてこなかったので、今回のリリースをきっかけにツマンでみることに。

 

Terrible Animalsに関して

ジャケ写

 

クリスクロスといえば、こういうイメージ。

ギターを構えるラーゲのスケッチを見て、見知らぬレーベルかな?と思ったら、まさかの名門Criss Cross。「クリス・クロス=市街地を背景にした実写ジャケ」が僕の中で(勝手に)定番化していたので、意外。

ジャケから既に''変化球感''がビンビン。

 

Tyshawn Sorey(タイショーン・ソーリー)の参加

ドラムに共演歴の長いビル・スチュワートやマーカス・ギルモアではなく、タイショーン・ソーリーを新たに起用。ソーリーはヴィジェイ・アイヤーのセクステットでの巨大な''うねり''が迫ってくるようなスケールの大きいプレイが衝撃的だったし、ソロ作のPillars(3枚組構成で4時間)(!)も絶賛リリース中。僕にとっては「タイショーン・ソーリーの参加=ヤバいのが来るぞ」という方程式が成り立ちつつあります。

 

アルバムの中身ちゃん

www.youtube.com

 

ソーリーの参加もあり、個人的には期待値を高めてリリースを待っていた本作ですが、これが中々の怪作。

1曲目(Hard Eights)では冒頭からペュワ~オォ~ンというシンセ音が飛び交う。軽快にスウィングしているように聴こえるテーマ部も、可愛らしいメロディーと重々しいバッキングに大きなギャップがあり、何とも言えない虚無を感じる。ピアノのサリバン・フォートナーは個人的に初めて聴く人だし、ダイナミックなピアノソロを弾きながら曲は進んでいく。このまま僕だけが取り残されてしまうのではないかしら…と、ソワソワしているところへ、空を切り裂くようなラーゲのギターが割り込んでくる。これだけ濃密な音の中でも存在感を放つ、ラーゲらしい(としか言えないのがもどかしい)クリーントーンにホッと一息。そうだ、これはラーゲのアルバムだった。この緊張⇒安心の落差で、気持ちが一気にほぐれる。細かい部分でのおどろおどろしさはあるけど、全体に耳を澄ませて聴いてみると何も難しいことはないじゃないですか。

ラーゲのソロに突入してから、ここまで比較的オーソドックスなビートを刻みながら様子を伺っていたソーリーも、ラーゲに呼応してプレイの質・量ともに爆発。うおお、これはとんでもなくカッコいいぞ。

1曲目での緊張⇒緩和を経た聴き方をしたせいか、2曲目以降も4人が作る引き締まった空気と、それを指先ひとつで解いてゆくラーゲの世界観にどんどんハマっていく。緊張感のキャッチ・アンド・リリースや~!(何もウマいことは言っていない)

アルバムを通して印象的だったのが、ピアノとギター(時たまベースも)が同じフレーズを演奏することで生み出される立体感。特にタイトル曲のTerrible Animalsはギターの重ね録りによる微妙なズレが気持ち良し。こうしたユニゾンが増えることで必然的に音数は減るので、曲調・演奏メンバーの割にはシュッとしたサウンド胃もたれせずに聴けるのではないでしょうか。ベースのラリー・グレナディアがビート・ハーモニー・メロディーの根本を崩さない、マス目に沿った丁寧な演奏を貫いているので余計にそう感じるのカモ。

Criss Crossは超大作的なサウンドもコンパクトに纏めてくる印象があり、それが悪い方向に作用することもあるのですが、本作は音の鳴り方もバッチグー。

初聴き時の異質感が段々と癖になってくる、個性派揃いの現代ジャズにあっても強烈なインパクトを持つ一作。リリースからヘビロテで、2019年は大変お世話になりそうです。

 

Terrible Animals

Terrible Animals

 
Pillars

Pillars

 
ザ・グリーナーズ

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