365日をJ棟で

サラリーマンの諸々日記。買い物、音楽、日常。

TUDOR BLACK BAY 36に関して。

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TUDOR BLACK BAY 36 Ref.79500

チューダーのブラックベイ36を購入して、6ヶ月が経った。

購入品は買ってから直ぐに投稿しがちなタイプなので、珍しく期間が空いてのご紹介となる。

実はブラックベイに関しても、これまで通りに購入直後から下書きをしたためていた。しかし、文書作成能力の低さ故に書きたいことだけを書き殴った、乱雑さが増し増しの冗長文が出来上がってしまう。そのため、一度リライトすることを決意…するも「何度やっても数千文字の駄文になっちまう!」というSCPの認識災害を受けたかのような状態に陥り、図らずも学習能力の低さまで露呈する結果に。お気づきの通り、何度目かのリライトである今回も冒頭から冗長さを帯び始めている。

というわけで、いってみよ~。

 

チューダーについて

チューダーなるブランドを初めて認識したのは、確か2019年のラグビーW杯日本大会だった。泣く子も黙る最強軍団オールブラックス(ニュージーランド代表チーム)の公式アンバサダーとして、大々的なPRが行われていたことを覚えている。当時、百貨店などでポップアップイベントが行われていたのが記憶に残っている方も多いのでは。

私はというと、丸っこいポップなデザインだなという印象だけはあったけれど、まさか数年後に買うことになるとは夢想だにしていなかった。チューダーは2018年に公式代理店を引っ提げて正規の日本上陸を果たしたという経緯があるので、W杯はPRイベントとして最高に機能したことでしょう。

(当時はコロナ晦日だったため、神戸でもハーバーランドをはじめとするパブリックビューイングが行われており、日本人と訪日&在日外国人たちが肩を並べ熱狂していた。今の御時世も決して嫌なことばかりではないんだけど、あの光景が懐かしくなることもある。閑話休題)

 

チューダー(旧チュードル)は「ロレックスのブランド&技術力を広く普及したい」というコンセプトで1930年代よりスタートした派生ブランド。かつては外装にロレックスのパーツを流用していた経緯もあり、アンティークモデルのケース・ブレス・竜頭等には王冠のロゴや刻印が確認できる。

各モデルのデザインコンセプトも似ており、チューダー⇔ロレックスの現行モデルだけでも、ブラックベイ(58)⇔サブマリーナー、ブラックベイGMT⇔GMTマスター(II)、ブラックベイクロノ⇔デイトナ、ロイヤル⇔デイトジャストetc…といった具合に、リファレンスとなるモデルが分かりやすい。2022年の新モデルであるブラックベイプロも初代エクスプローラーIIを踏襲したデザインで相当カッコいい。

兄弟(親子?)ブランドとしての切っても切れない血縁は、やらしい話、安易なパクリ認定をされないという大きな強みにもなる。

 

ブラックベイ36について

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購入日の箱出し直後。

一方で後追い、廉価品、プアマンズ…といったイメージから脱却し、チューダーブランドとしての独自路線に舵を切ったモデルも発表されている。セラミックやシルバー925、ブロンズの様な素材から攻める路線もあれば、デザイン面で親元を離れる路線もある。購入したブラックベイ36は後者にあたる。パッと見ではサブマリーナーの回転ベゼルを取っ払ったような、あるいはエクスプローラーIの文字盤を換えたような、オブスキュアなデザイン。

シリーズ最大の特徴は「41/36/32mmのケースサイズ」「ブラック/シルバー/ブルーの文字盤カラー」「ステンレス/ファブリック/レザーのブレス」といった豊富なバリエーション。老若男女問わずに遊べる手広さは、カラフル文字盤の暴騰も記憶に新しいオイスターパーペチュアルの雰囲気も感じる。

私は36mm/ブラック/ステンレスという直球ド真ん中の1本を選んだけれど、他にもPOPEYE*で取り上げられていた32mm/シルバー/ファブリックの組み合わせも抜群に可愛く、例えば家庭内で共有しても面白いかも。ファブリックベルトはいわゆるナイロン製ストラップながら、肌触りが恐ろしく良いので交換用に欲しくなってしまう…というか、そのうち買っていると思う。

*2021年11月号 No.896 "僕らの古着ワンダーランド。"

 

サイズ感について

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あ、報告のタイミング逃してましたが、先日入籍しました。

なんといっても腕への収まりが良いんです。

私は手首周りが約16cmという身長体重の割には細い(と勝手に思っている)平均寄りのサイズで、40mmを超えるデカ厚な時計はお世辞にもフィットするとは言えない。

ダイバーズ仕様のブラックベイはパワーリザーブ70時間の自社設計ムーブメントだとか200mの防水機能だとか、所有欲をくすぐるポイントは沢山あったものの、41mmのケースサイズから生まれるドン!と迫力ある大きさ・重さ・厚みが腕に響いたことで候補から外れた。スペック上は僅かな違いでも、特に厚さは数mm異なるだけで印象が大きく変わる。(でも本当に最後まで迷った。特にネイビーはベゼルの色が58より抜群に良い!)

結局のところ身に着けるものというのは見た目のマッチングが先、スペックは後。その前提を崩さない買い物だけが迷いを取っ払ってくれる…と信じている…たぶん。その点において36mmというケースサイズは、初日から既に何年も共にしてきたかのような馴染みがあり、これ以上ない黄金サイズであると確信している。

 

デザインについて

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ニコニコ顔の’’ROTOR SELF-WINDING’’も含め、文字盤のレイアウトもマル。マニュファクチュールキャリバー搭載になると"CHRONOMETER OFFICALY CERTIFIED"の文字が出現し、笑顔は失われる。

文字盤の〇△□(≒中村一義)もアイコニックなブラックベイ。ドットインデックス=数字の刻まれた大ぶりのベゼルが付くスポーティな時計、というイメージからくる肩透かしがありつつも、うまいことバランスが取れているデザインだと思う。とりわけケースの縦横&厚みの比率、ラグの形状、ベゼルと文字盤(インデックスの大きさ)の面積比は相当グッとくるものがある。

バーインデックスと比較してポップな印象は強いものの、TPOを選ばないオールラウンダーとして購入から1日も欠かすことなく左手首に乗っかっている。

 

平凡but非凡な仕様について

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夜光も綺麗。こんなにハッキリ映ることも稀だが。

ビジュアル面において十分に魅力的なブラックベイ36だけど、仕様面で見るとデイデイト表示もGMTもクロノグラフもムーンフェイズも無い、ただの3針自動巻きとなる。

ムーブメントは汎用品のETA2824-2(セリタSW200-1)ベースで、パワーリザーブも決して長い方ではない38時間。ロレックス直系のオイスターケースかて、恐らくはSUS316(L)あたりの工業用ステンレス。仕様面においては本当に特筆すべきことが無いぐらい、普通。

その一見した普通さを、普通ではないクオリティで作り込んでいるところを大変気に入っている。

 

搭載ムーブメント・日差について

Cal.T600に関する基本情報。

今のところ日差は±7秒程度と、COSC認定品に肉薄する精度をキープしている。直近の2週間だと-13秒/週、-31秒/週で遅れが優勢。姿勢差やリザーブで進んだり遅れたりを繰り返しての帳尻合わせに過ぎない面もあるとはいえ、期待を遥かに上回る精度でチューンアップされていたのは嬉しいサプライズ。

日常生活に影響するほどズレが蓄積しても、秒針ハック可なので時刻調整は容易。手巻き機能も当然あるけれど、結局は毎日着けている物なのでリザーブが枯れることは起こり得ない。(でも時たまチリチリと巻き上げたくなっちゃう)

ちなみに自社設計ムーブメントを搭載するまでのモデルはCal.2824という風にETAを匂わせる番号が振られていたが、本機はCal.T600と名称変更がされている。諸説あるが、ジェネリック品であるセリタSW200-1の併用により、キャリバー名も変えたという考察を海外フォーラム上では見かける。

汎用品のポン載せではないことを示したい、そもそも汎用品を使っている事実を隠したい、といったブランディング面での含みも当然あるだろうが、もちろん詳細は不明。(純度100%の互換品ではない2社のムーブメントを1つの品番に混載するのは品質管理的にOKなのだろうかと思いつつ…)

 

仕上げ・パーツについて

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やはりパッと見ではエクスプローラーっぽい。

仕上げに関しても超良好。文字盤から裏蓋までミクロン単位で作り込まれている。ケース端やブレスのエッジでの引っ掛かりや食い込みが無く、これが先述した馴染みにも一役買っている。

各パーツのサイドは鏡面、その他はヘアラインというツートン仕様。サテンフィニッシュと鏡面仕上げを併用した指輪との相性もバッチリ。ダイヤルは天井まで綺麗に反射するミラー系で、マット系のダイバーズモデルより個人的には好み。

竜頭には英国チューダー家の紋章であり、旧ブランドロゴでもある薔薇模様が彫られている。紛れもないスイス産の時計だけど、随所に垣間見えるUK要素が気に入っている。密閉性に優れるねじ込み式竜頭のおかげで150m防水に対応しているので、普段使いではオーバーなほどの耐久性を備えている。毎日身に着ける物なので、ハンドソープで気兼ねなく洗えるのも大きな魅力。

 

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キャッチを起こして、クラスプをグッと手前に引けば安全に外せる。

クラスプは現行ロゴの盾をモチーフとしており、セーフキャッチが付いているため何かの拍子に外れてしまうことは有り得ないと言っていい。ロレックスのオイスタークラスプに寄せた新デザインも好きだけど、36mmの中小型サイズであれば現行のクラスプも可愛げがあって悪くはないと思う。

デスクワーク等で机やPCに手首を置くことが多く、ブレスやクラスプ、ベゼルのエッジにはそれなりに擦り傷が付いている。スティーブ・ジョブズじゃないが、傷のあるステンレスというのは美しいなと思う。超が付くほどの実用時計として、小傷は熱烈歓迎な感じでビシバシ使っていこうと思う。(唯一、帯磁させないようには気を付けつつ…)

 

目立たない良さ

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何より、ブランド&時計として良い意味でスッゴく地味なのです。毎日腕に着けていて、どこの時計?等と聞かれたことがほとんどない。

他部署の時計好きの(いつもノモスを着けている)方から「前から気になってたんですけど、もしかしてチューダーですか?」と聞かれたり、健康診断で年に2回来る歯科医の先生から「ん?どこのや?チューダーか!ええ時計やね。僕もデカ薔薇のチュードルは何本か持っとるよ。個人的にはアンティークのキングセイコーがね、ジラールペルゴがね~~~(以下マシンガントーク)」と言われたりした以外では、誰からも指摘を受けていない。

ロレックスは知っていてもチューダーなんて名前すら知らない人が大半なわけで、そうしたステルス能力の高さが日々にワクワク感と高い満足感を付与してくれる。

 

チューダーの需要・在庫感について

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ここまで読んでもらって大変申し訳ないのですが、本機に関しては↑のエントリの方が分かりやすく魅力が伝わっていると思います。

というわけで大が付くほど満足しているブラックベイ36だけれども、特にステイタスや資産価値で語られるようなモデルでないことは明らか。

オールドのサブマリーナーをベースにした小ぶりなブラックベイ58が確固たる地位を築き、ロレックスのファン層さえも取り込んでいる御時世。さすがに流行りのマラソンランナー達がエクスプローラー1やオイスターパーペチュアルの代わりにブラックベイ36にまでちょっかいをかける、といった事象は起こり得ないはず。いくら似ているとはいえ、文字盤からして全くの別物だし。

購入検討時に正規店を8回ほど巡った所感ではブラックベイ36は高確率でショーケースに並んでいた。いきなり「クロノ欲しいんだけど!プロ欲しいんだけど!58は無いのか!?オラァ!」みたいなヤバい殴り込みをかけない限りはスタッフも優しいと思うので、気軽に行って気軽に試してみても良いのでは…

と思いきや。

少し前に店舗に寄ってみたところショーケースは閑古鳥が鳴き始めており、ブラックベイ36もステンレスブレスモデルは全て品切れになっていた。円安による価格改定は必至だと思うので、欲しい時が買い時論で欲しいモデルは見つけ次第スグに買おうね。

 

ブラックベイの今後?

そんなブラックベイもゴージャスなS&Gモデルは今年から32/36/41mm → 31/36/39/41mmとデザインを刷新し、更にはCOSC認定のマニュファクチュールキャリバー搭載という大大大出世を果たした。

このまま通常モデルもブラッシュアップを続けていくことが予想できるので、手持ちのブラックベイ36は社外ムーブメントが載る最後のシリーズになるのかもしれない。過渡期の佳作として、この魅力は今後も語っていきたいと思う。

本機について言及しているウェブページはとにかく少ないので、購入を検討されている方の参考になれば、と〜っても幸いです。

 

おわり

…結局また6,000文字近い文量となってしまった。リライトの意味はあまり無かったような。

ところでTUDORをイギリス英語的に読むなら「トュードァー」が近いと思うんだけど、軟体生物みたいなホニャホニャとした響きなのでチューダーで全然いいなと思うね。ちなみにOMEGAは中国語で"欧米茄"と記述するようです。Western Eggplantて。