365日をJ棟で

サラリーマンの諸々日記。買い物、音楽、日常。

ある愚か者が歌詞を読み解く場合…(What a Fool Believes)

ここ1週間ぐらい、ドゥービー・ブラザーズのホワット・ア・フール・ビリーヴス(ある愚か者の場合)を延々リピートしている。

 

恐ろしいほどの中毒性。口からCD音源とかいうレベルでは済まされない。

メインボーカルのマイケル・マクドナルドの歌唱力が遺憾無く発揮されすぎている、究極ポップソングの一つ。

家で出ない裏声を捻り出しながら口ずさむ僕のことはどうでも良いとして、この曲はどうも歌詞の意味が取り辛い。

恐らく過去に恋仲(とまではいかなくとも親しい間柄)だった男と女がいる。男=愚か者は彼女がもう一度自分のものになってくれると信じている。女には、もうその気が無いにもかかわらず…

パッと聴いたところの大意はこんなところだろうけれど、文ごとにキッチリ読もうとすると京都大学の二次試験か?というぐらい謎。和訳を記載しているブログは何個もあるけれど、どれもニュアンスが微妙に異なっているうえに意訳色が出過ぎていて余計に混乱する。

ところがあるブログにリンクが貼られていた、歌詞の解釈を各人で書き込む(言うなれば歌詞を"英訳"する)海外サイトのレスを見て、一気に落ちた感覚を得た。

https://www.lyricinterpretations.com/doobie-brothers/what-a-fool-believes

以下、私による適当な翻訳を掲載致します。

解読する上で重要なのは句読点*です。キーとなるフレーズは"愚か者が信じているものは、どれほどの賢者であろうと理屈で退けることはできない(What a fool believes he sees, no wise man has the power to reason away)" "あるとされるものは、何もないよりはずっとマシだ(What seems to be is always better than nothing)"の2つです。

意訳するなら、"信じ込んでいる愚か者に理を説こうとするなんて、考えるだけ無駄だ。彼は自分の見たいものだけを見ているから、彼の誤ちを納得させるのは不可能なんだ。でも待てよ、彼は妄想に浸っている方が幸せなのかもしれない。孤独な愚か者にとって、幻想の中の愛は空虚な愛よりはマシかもしれないのだから"となります。

この曲は、とある女性が大昔に知り合いだった男性と少しの時間だけ会っている、そんな物語です。恐らく彼らは、何度か破局を迎えているか、あるいは彼が彼女に一方的な恋心を抱いているだけの知り合いでしょう。いずれにせよ、男は彼女のことを想い続けているけれど、彼女は長い時間の中で彼に思いを巡らせたことすら無いのでしょう。

彼は話を持ちかけて、なんとか彼女との懐かしい記憶を思い出させようとします。彼女は優しく微笑んで、それから嘘の謝罪("まあ、もうこんな時間!行かなくちゃ、会えて良かったよ。私たち、また近いうちに会いましょうね。さようなら")をサッと伝えて立ち去ります。

彼女にその気が全く無く、彼との関係をこれ以上は深めないために立ち去ったことは、分別のある人なら誰だって察することです。でも彼は恋に盲目ですから、まだ希望はある、彼女が自分に惚れる可能性はある、と自分自身に言い聞かせているのです。

思い当たるフシがある人間、いるんとちゃうか!(陰キャの私は特にありませんが………)

*に書いてあるように、歌詞の一文をどのような句読点で区切るかで読み解きの難易度が激変する。僕の場合は、多くのポップソングの様に、Aメロ・Bメロ・サビ単位で歌詞を分けて考えていたことがワチャワチャの原因であった。

一例としてBメロ⇒サビを挙げると、メロディーの連続性から、

"As he rises to her apology, anybody else would surely know, he's watching her go. But what a fool believes he sees, no wise man has the power to reason away."

こう聴こえてしまっていたんだけど、実際は…

"As he rises to her apology, anybody else would surely know (that she has nothing to do with him anymore). He's watching her go, but what a fool believes, (is what) he sees. No wise man has the power to reason away."

こう捉えるとパパッと道が拓けて、意味が簡単に分かる。

サビ後半⇒2番Aメロも同じで、歌詞を段落通りに受けると、

"What seems to be is always better than nothing. Than nothing at all. Keeps sending him somewhere back in her long ago. Where he can still believe there's a place in her life."

ちょっと何言ってんのかマジで分からない。これも整理すると、

"<What seems to be> [is] {always better than nothing, (better) than nothing at all}, [keeps] {sending him somewhere back in her long ago, where he can still believe there's a place in her life}."

括弧の付け方が合っているかは謎、What seems to beが遠く離れたkeeps sending himに係ることが伝わってほしすぎる。

2番歌い出しの"彼を過去に送り続けている"ものが、彼がそうであると信じているもの、つまりワンチャンあるで精神であるということもスンナリ落ちた。

もちろん冒頭の大意を掴むだけならこんな作業は必要なかったんだけど、改めて行の繋がりを読み砕くと曲の聴こえ方も以前より変わってくるものがあって新鮮。まぁ、多くの人はそもそも歌詞なんて聴いていないようですが…(僕はサウンドと同じぐらい歌詞に耳を傾けるタイプです)

 

33歳の風貌ではない

もういっちょライブ映像。恐ろしいのはバックミュージシャンの歌唱力。キーボード、ベース、サックス、ギター(ロベン・フォード!)がサビで歌っているけれど、全員がキチンとファルセットを当てている…歌って踊れるスタジオミュージシャンというのは流石米国といったところ。

追記:上の動画でサックスを担当しているのはフランク・ザッパのバンドに所属していたロバート・マーティンでした。お前だったのか、He's So Gayでエッチな声を出していたのは…

ホホホホンホ~ホン♡

 

それにしても、マイケル・マクドナルドはスティーリー・ダンのバックコーラスとしての印象が非常に強かったので、後からドゥービー・ブラザーズに加入していたことを知った時にはエッ!と思うた。硬派&ストイックなイメージのスティーリーと、陽気&カジュアルなイメージのドゥービー、対照的な両者だからこそ未だに実感が湧かない。サンダーキャットと共演していることを考えると、大したことではないのだけれど…

 

Aja (Remastered)

Aja (Remastered)

  • スティーリー・ダン
  • ロック
  • ¥1324

ありきたり度MAXながら、やっぱりスティーリー・ダンは"Aja"が大好き。ディアンジェロの"Voodoo"と同じでパッとした分かりやすさは無いけれど、気がついた頃には自分の音楽観のリファレンスとなっていた1枚。かの有名なラリー・カールトンの"Room 335"の元ネタとなった"Peg"は勿論のこと、"I Got the News"で一瞬だけ登場するマイケル・マクドナルドのコーラスは正に国宝級。ジャケ写の山口小夜子さんも、日本人のモデルで一番好きな方です。