Apple Musicを開始してしばらく経ったので、ここいらで気に入った新譜をまとめて記事にしようと思っていたのですが、このアルバムがあまりにも良すぎたので、単発の記事にしちゃいました。
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Time / Louis Cole
5月の来日公演も観に行ったKNOWER。
そのメンバーであるルイス・コールのソロアルバムが本日リリースされておりました。
サマソニにも来日するフライング・ロータスが主宰する『Brainfeeder』よりリリース。
同レーベルとは少し前に契約を結んだようです。
KNOWERでは「エレクトリックなシンセサウンドと常人離れしたドラムテクをバカスカ鳴らし散らかす、とんでもねー仏頂面のヤツ」というイメージのあるルイス・コール。
今作の『In The Weird Part Of The Night』『Real Life』『Freaky Times』でも、お馴染みの変態的でダンサブルでコズミックなファンクサウンドが脳みそに攻め込んできて「これこれ、この感じよ~!」って感じ。
一方で『Everytime』『Last Time You Went Away』『Night』のように、深めのリバーブをかけたファルセットボイスを重ね録りしたコーラス、重厚な生ピアノやストリングスに、声量を抑えた囁くような歌…澄んだメロディー・美しいハーモニーが惜しげもなく注ぎ込まれた楽曲も合間合間に登場。
これがブンチキサウンドで昂ぶっていた気持ちにジワ~っと染み込んでくる代物で、聴きながら危うく(?)ホロリするところでした。深夜に聴いちゃいけないやつですよ、コレ。
そして上記の楽曲達の中間に位置する、グルーヴィーなベース&堅く刻まれたドラムの上で、エアリーなコーラスや軽いタッチのキーボードが乗っかった『When You're Ugly』『Phone』『Tunnels In The Air』『After The Load Is Blown』『Things』なんかがあって…
この「動と静」の対比が聴いていてスンゴく面白い。飽きない。
一見変に思えるサウンドの組み合わせについて、KNOWERへのインタビューでルイス・コールは以下のように話しています。
人生は複雑で狂ってるけど、僕はそういった重なり合う感情を一つにする音楽が好きなんだ。そして、そんな音楽をみんなに教えたいんだ。
バチバチに激しい電子音楽と、内省的で柔らかな空間音楽(何それ?)の糊付けは、この『重なり合う感情』と『それらを一つにする音楽』を1枚のCDに収めるための1つの試みであり、その点で本作『Time』は間違いなく成功していると思います。これも鬼才ルイス・コールによるセルフプロデュースだからこそ。
フィーチャーされているミュージシャンも、KNOWERのジェネヴィーヴ・アルタディーや、ルイス・コールもプロデュースしている最凶ベーシスト・シンガーのサンダーキャット、そのサンダーキャットと共演しているキーボーディストのデニス・ハムなど、あの界隈の「いつメン」が勢揃い。
そんな中で、孤高の天才ジャズピアニスト、ブラッド・メルドーが1曲フィーチャーされているのも面白かったです。ルイス・コール的なエレクトリカル・ファンクなトラックと、ブラッド・メルドーの現代ジャズ全開なピアノソロ。どう考えても合わなさそうな組み合わせなのに、聴いてみると最高×最高。
各プレイヤーの個性がルイス・コールの世界観にキチンと影響を与えているので、久しぶりにフィーチャリング曲らしいモノが聴けたように思います。
先行シングルである程度期待はしていたものの、ここまで完成度の高いアルバムだとは全く想像していませんでした。
現時点での2018年ベストアルバム候補です。年末までヘビロテですな~。