再来月で30歳になる、その記念にスーツをオーダーした。というか、ありがたくもオーダーさせていただいた。
大手量販店、セレクトショップ、個人経営、色んなパターンがある中で、初オーダーはTomorrowlandで行った。United Arrows、BEAMSあたりがやっているのも知っていたが、トゥモローランドを選んだのは完全に勘。妻がトゥモロー贔屓なのもある。そしてちょうど、パーソナルオーダーフェア（仕立て価格10%オフ）が始まっていたタイミング。
店頭でドレス担当のスタッフからオーダーのイロハ、自社製品の拘りを聞き、一旦は持ち帰って翌週に再訪し本オーダー。ジャケットのイセ込み等ディテールには相応の力を入れているらしく、それ故にスタートプライスが高く・納期もゆっくりめに設定されているのだとか。なんにせよオーダーは初めてなので「ははあ〜、そうなんですね」ぐらいの感想だったけど、やがて分かる日も来るのだろうか。
オーダーに際した私の（曖昧な）希望は、英国寄りのクラシックなミッドナイトネイビーのスーツ、それだけ。自分の中で核となるスタイリングを構築したい、タイドアップしたスタイルの基本を学ぶ機会としたい、色々思うことはあったけど邪念を減らして、素直に色と概念だけを伝えた。
対応いただいたスタッフは相当ドレススタイルにオタッキーな方。私のやりたいことを汲み取りつつ、スーチングの当たり前についても細かく説明してくれながらオーダーを進めた。
トゥモローランドはイタリアのエルメネジド・ゼニアとフランス（イギリス製）のドーメル、この2大ブランドに強いらしい。個人的にはイギリス志向なこともあってか、ゼニアのエロエロ光沢より、ドーメルのタフネス感に惹かれた。無数のスワッチを撫で回しつつ、数種に絞る。
…いや、考えれば当たり前なことなんだけど、この2ブランドはファブリック界でも割とカマしているというか、要は高級に分類されるスーツに使われる生地なので、単価は高いのよ。トゥモローランドの2Pスーツはスタートプライスが¥118,800〜であり、当然これは最もリーズナブルなメーカーの中で最もリーズナブルな生地を選んだ場合の最低価格に過ぎない。まぁこの辺を載せてもプラス数万円で収まるかなと考えていた私が呑気だった。トーマスメイソンやアルモのように高々1,2万円のアップで済むシャツではないのだ。
ゼニアとドーメルで仕立てる場合の価格を聞き、私は冷や汗をかいていた。ヤバい。ちょっと安価な新鋭のブランドならフルオーダーできる。ジョンロブのシティIIでお釣りが来る。中古車が買える。ちょっとした海外旅行に行ける。
明らかにオカシな領域に足を踏み入れているのでは？一発目のオーダーでこんなにハジけていいのか？グルグル考えつつ、そもそも妻にプレゼントでいただくのだから（頼む、ストップをかけてくれ！）と心で叫びながら横を見たら本人はノリノリだった。後で聞いたら、別にゼニアのトロフェオ（約35万円）でも良いかなと思ってたよ、だって。それは流石に止めなよ。
というわけで、ドーメルの"クロノ"レーベルから選ばれたミッドナイトネイビー生地。（まだマシな範囲でリーズナブル）
もう選んでからは「まぁウエストンやグリーンの靴を買い足すよりはプラクティカルかな」「まぁザ・ロウのマルゴー15より安いし」「まぁ社会人になって直ぐのコロナ禍で海外旅行してないし」「まぁ車買ってないし」「まぁサックスとか買い替えてないし」「まぁスーツは長い目で見たら元取れるし」等と言い訳のオンパレードが脳内を埋め尽くしており、ドレススタイルにハマっている人間の財政事情どうなってんだと混乱しながらも体型の採寸に移っていた。
体型をメジャーで計りつつ、パーソナルオーダーで補正し切れない場合は型紙から改造するセミオーダーにグレードアップ出来るそう。
私は身体に関する幾つかの懸念からセミオーダーの選択肢もあったが、基本的には既成にチョイとの加工で済む体型らしく、パーソナルオーダーで弄れる範囲内で対処することとした。この辺りは11月(仮)の出来上がりを見て、また書く予定。
とりあえずオーダーを通しただけで、一体どんなものが仕上がるのかはワクワク＆ドキドキ。そして今回の生地選びや採寸だけでも、クラシカルなスタイリングは絶対に楽しそうだなと直感してしまった。沼に落ちないだろうか。
せっかくなら合うシャツも検討しているが、鎌倉シャツのパターンオーダーが昨日から価格改定でグッと値上げされており、大変に喘いでおります。あんあん。
