ミュージシャンを生で観て、その演奏に感激したり、ビックリしたり、笑ったり、泣いたりすることがある。CDでは絶対に味わうことのできない生演奏の醍醐味というのは、確実に存在すると思う。コレに関しては、以前も書いたことがあるのだけれども。
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先日、ペトロールズのライブに行ってきました。久しぶりのライブ観賞だ!
ペトロールズとは…元東京事変のギタリスト、浮雲こと長岡亮介さん率いるスリーピースバンド。現在は椎名林檎さんや星野源さんのサポートでも有名ですよネ。
2017年10月24日現在、YouTubeで1億5600万回再生されている恋/星野源のギターも、長岡さんです。
で、ペトロールズ。CD音源を聴いた時点で、容易くハマってしもた。
ライブで観たら良いだろうなあ!と思った頃には既にチケットは完売。仕方なくチケキャンから転売価格でチケットを買うことに。
会場は心斎橋BIG CAT。実は去年の12月にココで演奏したことがあったので、客席からステージを観るのは感慨深かったです。「あ、俺、長岡亮介と同じステージに立ったんだ~」って。イキるな小僧。
で、ライブ。
ドン引きしてしまった。
ミュージシャンに対して引いてしまうことって中々無いというか、今までに一度も無かったような気がするのだけれども。
長岡さん、ギターうますぎ。表現の幅とテクの守備範囲が広い広い。この凄さを受け止めるのに、しばらく時間がかかってしまいました。
カントリーやブルーグラスを背景に持つ長岡さんですが、この系統のギタリストだと、最近はカントリーなどのオールドアメリカンな音楽とジャズを見事に融合・昇華させたジュリアン・ラージがアツい。
複雑なコードチェンジもカッティングもアルペジオもチキンピッキングも速弾きも、歌いながらこなしちゃう長岡さんの引き出しの多さに参ってしまいました。そして、音に必要以上の情報量を載せない。曲中で盛り上がる部分やソロでは激しいディストーションを使うものの、基本は完全なクリーン、もしくは軽いクランチサウンド。
以前、ギターマガジンが選出したニッポンの偉大なギタリスト100で7位(!)にランクインしていましたが、その理由を肌で感じましたね。
(余談ですが、このランキングにT-SQUAREの安藤正容さんが入っていないのは意外でした。渡辺香津美さん、和田アキラさん、野呂一生さん、菰口雄矢さん等は入ったのに…?)
ギターのことばかり話してしまいましたが、ペトロールズというバンド自体も素晴らしく良かったです。三浦淳悟(ジャンボ)さんのベースと川村俊英(ボブ)さんのドラムが出すボトムがズン!ときて、長岡さんのリキッドなギターと歌がフワッと乗る。
ソロ、デュオに次ぐミニマルな編成のトリオって、そもそもの音数が制限されるし、無音の空間が怖くて無理に音を詰め込んでしまうんですよね。(バンドをやったことのある方なら、一度は感じたことがあると思います)
ペトロールズはその音の隙間に対する恐怖心が一切なくて、必要最小限の音しか出さない。形容するならば…スリム、スタイリッシュ、ミニマル、こなれ感、抜け感…ほら、君たちインスタグラマーの好きなワードだぞ、食いつけよ。さっさとCDを#置き画に投稿しろよ。(どうでもいいけど、靴を服の上に乗せてる置き画って超汚くない?)
「あっ、個人の音とバンドの意図がハッキリしていれば、ここまで音を減らしてもいいんだ」という良い気付きが得られました。
同じトリオ(3人編成)でも、爆発的な音数と音圧でエクスタシーへ向かうサンダーキャットとは正反対。どちらが良いとかではなくて、どちらも良いのです。
数々のミュージシャン達が惚れ込む歌とギターを2時間強、そこそこ小さなハコで、なんと3,800円で楽しめる。最高です。ツアーは12月まで続くようなので、ぜひ生で身体を揺らしちゃってください。