高校時代、ギターを買った。当時は吹奏楽部でサックスを吹きつつ、高校の合格祝いに買ってもらったEWIでT-SQUAREのコピーばかりしていた。
買ったのはEpiphoneのDotというモデル。いわばGibson社のES-335を模したギター。 バリバリ円高の当時、Dotは4万円を切ってたかな。今はもう廃盤で、代わりにES-335銘を冠した本家仕様に近い後継機が8万円ほどで売られているらしい。
出自は全くの別ブランドだが、今はエピフォンがギブソン傘下にあることを加味すると、チューダーがサブマリーナー銘で廉価版のロレックスを売っていたのと同じような感じ?
大学時代、四国からやって来た同級生は本家ES-335を所有しており、同世代で比肩する者がいないほど上手かった。在学中にカート・ローゼンウィンケルやジョー・パスに傾倒し、今はレッスンやセッションを中心にプロ活動をしているっぽい。
ナチュラルカラーのDot、いま思うと如何とも言えないチョイスだけど、当時は確固たる意思があった。
ラリー・カールトンの"Room 335"に出会ったこと、ニコニコ動画で観ていたギタリストの[TEST](松村弘基)氏がサンバーストのES-335を使っていたこと、そしてルーフトップ・コンサートで"Get Back"を弾くジョン・レノンが好きだったこと。
最後に関してはエピフォンのカジノという別モデルだが、色々な好みが混ざった+ES-335は買えないというアレコレの末、ナチュラルカラーのDotが出力された。(サンバーストが欲しかったけど売ってなかった)
現行はヘッドの形が違うらしく、ペグもグローバーからクルーソンタイプに。
高校、大学と弾かない時間の方が長く、気がつけば購入から15年も経ったDotちゃん。姪っ子に会うついでに、実家から連れ帰ってきた。
当時というか今も絶妙にケチというか、凝り性のくせに飽き性でもあるので機材に一切金をかけず、近所のハードオフで激安のアンプとエフェクターを買ってはチンケで安っぽい音を出していた。出音がしょうもないことにかまけていたし、練習を続ける根気もなく、大して弾ける曲もないまま今に至る。
保管状態が悪いせいか小傷が多い。むかし貼っていたピックケースのノリも残っている…
楽器の上達で特に大切なのは「状態の良い(≠高い)楽器をメンテしながら使い」「小時間でも良いので基礎的な練習を継続すること」だと気付いておきながら、その双方をおざなりにしてきた半生だった。
自分で言うのも変だが、何かを始める時に0から3ぐらいまで持っていくのは早い方だと思う。ただ、それは基礎をすっ飛ばして「できちゃってる風」の3であり、だいたい4で行き詰まる。コツコツながら0,1,2,3…と積み上げてきた人たちが見てきた5以降の世界に、いつまで経っても出会うことができない。
飲み込みが早い(ように見える)と、行き詰まった際の飽きも早い。何事も付け焼き刃を持たず、コンスタントに続けられる人間こそが最も強い。
下津光史さんもカジノ。やっぱチェリーレッドでもよかったと思うねん。
ギターもサックスも、あまりメンテに出すことなく独流で「鳴らしにくい楽器を無理くり鳴らす」という悪癖を身につけていた。
罪滅ぼし…というかコンプレックスを拭う意味合いもあるが、最近はカネコアヤノ、踊ってばかりの国のようなギターミュージック最高!!!な気分が続いている。
ちゃんと手に馴染むような楽器に仕上げて、ちゃんとイチから練習したいなと思うようになった。一つの障壁となりうる金銭面も、学生の頃よりどうとでもなるしね。
すみません、素人には交換無理でした。
連れて帰ってきたDotはナットが欠けていたり、ペグを回したら樹脂製のワッシャーが砕け散ったり、ネックが順反り気味だったり、ブリッジも錆びていたり、音は鳴るが状態は非常に悪かった。5年以上張られていた古い弦を切り、各パーツを拭いてあげてホコリを払った。
とりあえずワッシャーは個人製作のをメルカリで購入し、ブリッジもAmazonでABR-1タイプに合う中国製(令和最新版)に換装。2,000円ぐらいしか違わないのだから、GOTOH製にすればいいものを…
なおナットはDIY精神で注文したが(700円だし)、1フレットの音がめちゃくちゃシャープしてしまい、何時間もかけてナット溝をカシュカシュと削ったものの正解から遠ざかる一方な気がしたので、週末にリペア店に持ち込むことにした。最初からそうすればいいものを…
Positive Grid Spark GO
ギターの状態はさておき、とりあえず音出しだ!ということでPositive Grid社のSpark GOを購入した。評判が良いらしい超小型アンプで、これなら家で気楽に使えそうだと飛びついた。ブラックフライデーでお安く買えました。
スマホアプリと連動させることで、著名メーカーの定番アンプやエフェクターをモデリングしたサウンドを組み合わせて鳴らすことができる。同シリーズにはサイズや出力違いのSpark 40、MINIといった機種があり、理論上の出音は全く同じ。
Sparkをアンプヘッドとして使うキャビネットや音色切り替え用フットスイッチも別売りされているため、ライブハウスでもバキバキに使えるシステムが組めそう。
見た目こそ絶望的に不細工になるが、取り回しは最高。
Bluetoothスピーカーやオーディオインターフェースも兼ねており、ギター+スマホ+Spark GOがあるだけで「好きな曲に合わせて、好きな音色での演奏」がおこなえる。
今回はギターワイヤレスが付属するお得セットを購入したため、なんと電源を含む一切のケーブルフリーで上記が楽しめる。昔は〈ギター(EWI)→マルチエフェクター→アンプ→USBインターフェース→PC(iTunes)〉というバカ面倒な手順を踏んでいたので、もう隔世の感どころか革命でしかない。
ユーザーが作成したプリセットもダウンロードできるため、ワンタップで○○風サウンドを気軽に鳴らせる。少なくとも昔のように「音がチンケだから…」という理由で飽きてしまうことはなくなるだろう。
そしてこのサイズ感。家族がいると新しい構造物が家に入るだけでストレスを与えかねないため、バッグにスポッと収まる大きさは素晴らしいの一言。
まずはギターを修理&調整してもらって、これまで諦めていた分も掻き鳴らしてあげられたらと思います。