コムデギャルソンオムのウールトロなタックパンツを買った。
秋雨と共に夏の終わりを感じ取り、お気に入りのシャツがひしめくクローゼットを開いては閉じる。長袖シャツが心地よい日というのは年に数日しかなく、その機を逃すわけにはいかない。とりわけ、コムデギャルソンシャツ フォーエバーのウールシャツは気候を誤ると確実に汗ビショ。
服単品の存在感と自意識がミックスした結果、フォーエバーに合わせるズボンはオムプリュスのワークパンツがメインになった。オリーブは黒も白もブルーも包み込んでくれるし、今夏ベストバイであるサンリミットのパイルポロとの相性も最高。
しかし、できれば同(あるいは近い)素材の黒いズボンも穿いてみたいとも考えていた。残念ながらシャツラインにはセットアップを公称するウールパンツは存在しない。実はあるかもしれないが、少なくともフォーエバーの銘にはない。
先日、心斎橋にあるデカい直営店に行った。ポーターコラボのヘルメットバッグが気になっていた。お客の8割は1階隅っこのPLAYラインに張り付き、公用語も日本語ではない。残る2割、スタッフの熱視線(a.k.a.監視)を受けながら練り歩く。
そういえばオムは2階にあったな…と階段を目指すと、常連と思しき男女一組が前を歩いていた。詳しくは覚えていないが、とにかく男性のカッコよさが衝撃だった。上下ブラック、丸っこくも上品なオーバーサイズ、テックなスニーカー、おまけにポーターコラボのフカフカしたリュックを背負っていて完璧。
階段を上りきり、お目当てだったヘルメットバッグに辿り着くごろには、物欲の方向性がダダ変わりしていた。俺はギャルソンのズボンが欲しいんだ。
サンリミットみたいに、型式から読み取れたらいいのだが…
30年ぐらいリリースされているワークパンツもそうだが、ギャルソンには定番の型式・シルエットというのがあるらしい。「ギャルソン 定番 パンツ」なんて調べても出てこないし、型番から読み取れるわけでもないので、私のようなビギナーからしてみれば何も分からんのだ。店舗で聞け、ってのはそう。
ウールトロ ストレートパンツ #BLACK [HM-P102-051]
リンク先は今季リリースの分。
今回買ったのも、おそらく定番としてリリースされている型式。タック入り、ワイド+僅かにテーパード、そしてなにより股上がウルトラ深い。
ワークパンツも股上は深いもののギュン穿き前提なので違和感は少ない。しかし、これは股の位置が異様に低く取られており、股上は50cm以上、そして股下は60cmもない。いわば違和の塊。穿くと、ウエスト位置はジャストなのに腰パンというオモロな風味になる。
「ギャルソンやヨウジといえばサルエル」のイメージはあるけれど、このタイプはムササビのようなTHEサルエルな生地の取り方はしていなくて、本当に股上が深いだけ。
wonder mountainさんより。シーズンも素材も型も違うけれど。
ウールトロ素材で、肌の当たる腿裏だけキュプラの裏地つき。同じくウールトロのシャツと全くの同素材かは分からない、しかし見た目と手触りからセットアップと言ってもバチは当たらないだろう。ポケットも4つ。股上が深過ぎることさえ除けば、ごく普通のテーパードなズボン。
股位置がグッと下がるので、ものすごく短足に見えるのでは?と危惧していたが、どうも正面から見ると上手い具合に内腿の境界がボケるようになっている。ワタリにボリュームのあるズボンを穿いたら、どこが股に相当するのか分からなくなってしまった、そんなビジュアル。
このクロップド感、山口一郎さんっぽいよなと思ったら確かに22年のベストバイで同モデル(ウールギャバかな?)を紹介していた。
COMME des GARÇONS SHIRT, HOMME, HOMME PLUSの三兄弟。
この格好で博多、太宰府天満宮を練り歩いた。これで山口一郎が好きでないというのは苦しすぎるだろというぐらいのコスプレ具合。フォーエバーと並べると厳密には同素材ではないけれど、まったく違和感のない組み合わせ。
これでギャルソンはオムプリュス:デイパック/ワークパンツ、オム:縮絨ウールセットアップ/ウールギャバパンツ/ウールトロタックパンツ、シャツ:ウールシャツと少しずつワードローブ内に増えてきた。
これは…?と感じる見た目でも、いざ着てみると想像以上にハマる!と嬉しくなるところに、ギャルソンの楽しさを感じている。過去アイテムの古着や新古品ばかり買い集めてしまっているので、一度シーズン立ち上がりのフルラインアップも店頭で眺めて楽しんでみたいなぁと…