
レスカ・ルネティエのピカを購入した。フランスのTHEクラウンパント。
ふとメガネ欲しい期が訪れてしまい、物欲を抑え込むのに必死だった。妻にトムウッドのピアスを買ったり、母の日と称して(自分も使いたいがために)ダイソンのドライヤーを買ったりしたものの、それが却って欲望を解放させてしまったらしい。買うつもりだったギュパールを通り越した物欲便は、レスカに到着。
手持ちのメガネは鯖江製が5本ほど。鯖江だから無条件で良いとは限らない。尾州ウールとか、岡山デニムとかに同じだろう。それでも鯖江に手を出し続けていたのは、ずいぶん昔の増永眼鏡での購買体験が今も残響しているからだろうか?キチンとした接客を受けて、自分がコレだと思える一本を選ぶ作業やアフターサービスの充実さは、ツープライス店の流れ作業に慣れ切った私には新鮮だった。

持論:310のエレガンスは、ドが付くカジュアルでこそ輝く。
一方、私は無意識下でフランスのプロダクトも好きなのだと思う。大したことのない遍歴ではあるが革靴=J.M.ウエストンを愛用してきたし、コムデギャルソンシャツやセントジェームスを含めてフランス製品とは遠からず縁がある。
何がそこまで?というのはMKTさんのパリ旅行記ZINEを読み返しながら思い耽りつつ、とにかく鯖江以外でメガネを選ぶならレスカ・ルネティエは好適だろうと思った。幸いにも(?)私は自称「クラウンパント似合い顔」なのだ。
(私は建築やデザインはからっきしのゼロ教養だが、始まったら大変なことになるんだろうなと思いつつコルビュジエの建築様式に釘付け)

今回は大阪にあるジーケネイズさんを訪問し、レスカのラインアップではド定番の〈ピカ〉を誂えた。大手セレクトショップでの扱いがない分、大阪といえどレスカ取扱店は潤沢ではない。
ジーケネイズさんはご家族で経営されている、創業50年以上の老舗眼鏡店。アットホームな雰囲気で、クチコミ通りフィッティングに対して極めて高い技術と自負を持ったお店。フレームに対して顔がこういう状態なので、今からこう調整しますね、ということを柔らかな物腰で仔細に説明してくださる。付かず離れず、決して押し売らない、心地よさの極北にある接客だと感じた。大阪で普段意識することは少ないが、これが「浪速商人」というものだろうか。
「フレームの色味は室内/屋外で印象が変わるから」と、よく晴れた店舗の外で試着をさせてくれた点にも驚いた。結局は定番のブラックを選んだものの、ブラウン系カラー(特にコニャック単色やグレー×コニャックのツートーン)も柔らかな色合いが素晴らしく、また欲しくなった。

そこそこ肉厚なアセテート生地、面取りは極めて綺麗。
購入に際しては鼻パッドを改造してもらった。鯖江製のメガネは基本的に日本人向けだから、フレームPDもフィッティングも41〜46□23とかであれば合いやすい。レスカは西洋人の骨格に合わせた作りであり、鼻を乗せるブリッジの距離が長い。ピカのサイズは44□25であり、悲しいかな私のチビこい鼻ではサイズが足りない。
レスカ×日本人あるあるの解決策として、鼻パッドを全て削って平らにし、新たにアセテートのパーツを接合=鼻盛りをしてもらった。金属製のクリングスを付けるというパターンもある。一旦は無骨さを味わうため、今回は鼻盛りを選んだ。より安定度が高いのは明らかにクリングスだろうが、ジーケネイズさんのフィッティング力は他では味わったことがないほど。重さのあるアセテートフレームがここまで人馬一体で顔に収まることには、感動すら覚える。

安っぽい表現だが、オーラのあるメガネ。
2点のポチがあるカシメ以外に装飾の要素は薄く、深く黒く厚いアセテートで造形されたフレームがあるのみ。パーツの細かなラウンド具合や彫金でクラフツマンシップを演出する日本製のメガネとは対照的に、スパッと切ったような無駄のないフォルム。分かりやすい色気がないこと自体にとてつもない色気を秘める、、、そういうの。
それはチゼルトゥやピッチドヒール、フィドルバックといったセクシー系の要素を持たないJ.M.ウエストンの靴も同じ。カルティエのタンクフランセーズ(まさしくFrançaise!)に比肩する色気を持ったスクェアウォッチは、いったい幾つあるだろう?

50年代のパント型をリバイバルしたgp-20というモデル。市販では出会えないレンズの小ささとフレームの太さが、私の顔に合う。
もともとはギュパールのクラウンパント、gp-15というモデルを度付きで誂える予定にしていた。何度か取扱店に試着に行き、そのうえで結局買わなかった。gp-15は41□23で、ピカの44□25より二回り小さいサイズ感。私のPDは61mmという測定結果が手元にあるので、数値上合うのは間違いなくgp-15だと思う。
でもやっぱりレスカを通ってみたいという憧れは、似合う似合わないの次元じゃないしなという言い訳。そもそもギュパールはレスカの代替にはならないのだけれど…なぜならgp-15自体はレスカ以前の年代のクラウンパントを参照しているため。実際ビジュアルも全く違うしね。
価格もギュパールとレスカで目ん玉が飛び出るほどの差ではないしなと思ったら、標準で頼めるHOYAのレンズ代が想定より高くて打撃。値段を知った妻はデカい声を上げた。

間違いなく買って良かった。
転職の引っ越しで初期費用がバカみたいにかかるのに、事前に試算してた額より提示された退職金が少ないのに、今から自分と妻のマイカーを2台調達しなきゃならんのに、よりによって不急なメガネを買ってもうてからに。
グア〜!いいご縁がありますように!!!(雑)