365日をJ棟で

サラリーマンの諸々日記。買い物、音楽、日常。

小袋成彬 "Zatto" Tour 2025@味園ユニバース(2025/3/15)

f:id:squaredjackets:20250315211201j:image

小袋成彬のニューアルバム"Zatto"リリースを記念したツアー、初っ端の大阪公演に行ってきた。

ちょっとネタバレ含むので、以降の公演行かれる方はガン無視お願いします。

 

Zatto

Zatto

  • 小袋成彬
  • R&B/ソウル
  • ¥1681

分離派の夏、Piercing、Stridesを経てのアルバム4枚目。前回のStridesはアルバム以上にツアーが衝撃的な出来栄えだった。

あの時はDJ、エレキベース、コーラス3人に小袋成彬という異色の編成がこれでもかとハマった。生バンドだと音量の盛り上がりに際限がなくなるので、DJが操るトラックによってコントロールされたテンションというのが心地よかった。

何度も通ったし、なんならステージで演奏したこともあったハコ(BIGCAT)がオーディオルームに変貌したかのような極上の音質と、シルキーなヴォーカルは思い出しても素晴らしい。

Zattoはロンドンのミュージシャンと作り上げた、生バンドを意識したサウンド。ライブも盛り上がりは期待できていたが、前回の編成が良すぎたあまりに、却ってサウンドがデカくなりすぎて破綻する恐れもあるのではないかな…と変に心配していた。

今回のメンバーは全く情報ゼロで現場に伺ったが、幕が上がってビックリした。今やNJZのツアーサポートもしているSANABAGUN.のGt.磯貝一樹さん、藤井風のサポートで紅白出演もしていたB.小林修己さん、昨年も宇多田ヒカルのツアーで登場していたA.Sax MELRAWさんなど、むっちゃ豪華な面々だった。出音もデカくて豪華で最高。(少し大きすぎた場面もあるがエクスタシー的にOK)

ちょっとジェームズ・ブラウン風、ビル・ウィザーズ風なオープニングから新譜の全楽曲を演奏し、旧譜からはStridesの"Butter"と"Formula"も。サックスとトランペットの編成から予想できうることでもあったけれど、まさかの"Butter"はロイ・ハーグローヴの代表曲である"Strasbourg / St.Denis"とのマッシュアップ。

"Zatto"自体がソウルクエリアンズというか、いわば"Voodoo"の手触りや"Black Messiah"以降にVanguard名義でライブしていたディアンジェロのサウンドをモロに取り込んでいる雰囲気があったので、そうやってくるんだ〜!という嬉しさがあった。

そういえば"Formula"は数年前にリリースされたリミックス盤で、ピアノにグレン・ザレスキーを迎えていたところに大驚きした。10年ぐらい前にトリオの来日公演を観に行ったのよね。まさか自分の新旧の嗜好がここでクロスオーバーするとは思わなかったもんだ。

Formula (feat. Glenn Zaleski)

Formula (feat. Glenn Zaleski)

  • 小袋成彬
  • オルタナティブ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

今回のアルバムはジャジーなサウンドだ、というコメントを見かけるし、ライブ終わりもそんな会話がよく聞かれたが、個人的にはむしろジャズ以外のジャンルをミックスし倒した歌謡曲中心の音と感じる。

明確にジャズの香りがある"Sayonara"はスタンダードナンバーを練習する中で作った曲、というのがライナーノーツで述べられているけれど、その他はサルサやレゲエ、そしてやっぱりディアンジェロ。"Kamifubuki"の終盤はいわゆる4ビートの様式はあるけれど、ライドシンバルを跳ねさせる+ウォーキングベースというだけで、正面切ったスウィングジャズというわけではないと思う。

 

ロイ・ヘインズの叩くリズムは少し特殊なイメージもあるけれど、これは私が最も美しいと思うジャズの一つ。あくまで一つ。

じゃあスウィングってなんだと言われると言葉にできないのが歯痒いし、Zattoがスウィングしていないという原理主義者みたいな話に持っていきたいわけではない。(アルバムを聴いた当初は、ちょっと気になって判断を保留していた部分もあるにはあったが)

ただ、ライブでカラフルな楽曲たちを改めて生演奏で聴いて、やっぱりジャズの一言で簡単に語られるべきアルバム/サウンドじゃないよなぁ…と再確認した。あくまでも日本語詞に拘り続けたうえで、譜割やメロディーは他ジャンルのフォーマットそのままという挑戦もめちゃくちゃ好きだ。

 

f:id:squaredjackets:20250315221409j:image

ツアーTを2枚、セルフライナーノーツも購入。グレーは妻用、白は私用。「好きなミュージシャン・お店のTシャツを着る」より楽しいことはない。

何を話したかったのか分からなくなってきたが、今回のツアーも前回のStridesに負けず劣らず楽しかった。こうやってライブのスタイルをガラリと変えてきたにもかかわらず、毎回最高のステージに仕上げる小袋氏が持つ底の深さには心酔することしきりである。

まだツアーは始まった直後、ほとんどチケットは残ってないと思うけれど、当日券やリセールで手に入りそうならば是非とも足を運んでみてほしい。本当に、私がこの文章で伝えている熱量の900倍は良い体験できると思うので。

今回は3月も半ばながら、今年一発目のライブでござんした。来月以降もサザンオールスターズ、TOMOO(武道館)が控えているので楽しみ盛りだくさんやね。体調管理、しっかりね。