BQEYZのDACアダプタを買ってから、有線イヤホン熱が妙に沸いている。
外出時、気軽に使えるイヤホンはなかろうかとエントリークラスを中心に探し漁った。評判が良さそうなTRN Conchが良いかなと思いつつ、付属品が豪華である必要もないなと。2.5mm, 4.4mmバランス接続も考えていないし。付属のケースとか使ったことないし。出音を変化させるフィルターノズルも、初めは楽しいだろうけど後々になると不要になりがち。
買ったのはTRNのMT5。
キワキワを攻めると1,000円ちょっきしのモデルもあるし、AliExpressのセール時に噛み合えば破滅的な価格で買えたらもするようだけど、個人的には2,000円を切るくらいの、程よく雑に振り回せるイヤホンが欲しい。手持ちはKZ ZAXなので、できればKZ以外のブランドも試してみたかった。
ZAXはバランスドアーマチュア7基にダイナミックドライバ1基の8基構成に対して、MT5はダイナミックドライバ1基のみ。スペックからして物足りなく感じるように見えて、いやいやそもそも2,000円のイヤホンってダイナミックドライバ1基が当たり前ちゃうんかと。
それこそ高校生の頃、1万円でやっとBA1基のモデルが買えたぐらいだったしね。リケーブル可能になるとSHUREのSE315とか、Ultimate Earsの3 studioとか…今や2,000円台でBA2基+DD2基のハイブリッド構成すら買えてしまう。万単位の金額を出せば、片耳BA16基とかいう謎技術にすら手が届く。
混み入った構造のイヤホンはドライバ毎のチューニングや筐体内の配置に技術力が割かれるところ、ダイナミックドライバ1基というのはドドン!と構えた潔さがあって好きだ。ワケのわからない音を引き当ててしまう、という不安も薄い。
ロゴも何もない真っ銀色の金属筐体。中華イヤホンの中ではマトモなビジュアルでは?
話は逸れ…肝心の音質もMT5は普通にいい、としか言いようがない。というか1,650円だぜ。ラジカセ音質じゃないだけでもすごいのに、過去に所有していた(同価格帯では高コスパと言われていた)AppleのMA750Gとか、RHAのMA850とか、あの1万円クラスのイヤホンを思い出してもこんなに良い音出てたっけな。いまワイヤレスで使っているNUARL N6 Pro2と全く遜色のないどころか、余裕で上回る出来栄え。
帯域バランス、解像度、分離能、音場、奥行き、寒暖とか…何をもって高音質と判断するかは人それぞれ。個人的には音場がワイドで、低音がブワンブワンするよりギュッと引き締まった音で、高音域が脳を引っ掻く手前ぐらいでギラギラしているのが好き。MT5は全てクリアしている。強いて言うならボーカルが少しだけ奥にいるかな?むしろZAXの優位性が少しだけあったことに安心した。
付属品はめちゃくちゃ簡潔で、ケーブルも滑りにくいゴムな手触りで取り回しが悪い。音云々より扱いやすさの面で、適当な交換用ケーブルに換装しようと思う。イヤーピースは単品でも販売されているちょっとグレードの良いモノがMサイズだけ付属している。個人的には問題なく耳に収まっている。いつも使っているFinal Type-Eは引っ張るとすぐ取れてしまうほど緩かった。
あるYouTuberのレビューで低価格帯になればなるほど付属品が貧相となり自分でチューンアップする必要があるので、ある意味では玄人向けになると語られていたが、なるほど面白い。なんにせよ、豪華さを求めるならConch一択かと思う。
しかし、何度も言うが1,650円だ。Amazonで頼めば当日〜翌日に届く。
手持ちのイヤホンが壊れて間に合わせで何か…と思った時に、ダイソーやスリーコインズより前にAmazonを覗いてみてほしい。有線接続/SHURE掛け/絶望的な見た目/中国ブランドへの抵抗が薄いなら、一本選んでみるといい。BQEYZのエントリでも書いたが、オーディオに対する価値観は狂う。
間に合わせがゴール地点になってしまう、そんな恐ろしさを感じるイヤホンでした。