なにやってんだか???
一年ぶりにアウトレットに行った。私も妻も、狙いはBshopの一点張りである。
大手ブランドはアウトレット専売の商品が多いなか、ビショップはシーズン落ちや、セールでも捌けなかったアイテムを重点的に置いている。そのため、気分はお宝探し。前回はビショップのオリジナルレーベルであるHandkerchief Clubのシャツを半値ぐらいで買った。スイスの海島綿を使用したALUMOの生地、ビッグサイズのレギュラーカラー。割と気に入っている。
2buy 10%オフという輝かしいキャンペーンの中、いそいそとアイテムをカゴに突っ込む妻を横目に、私は手ぶらで店内を徘徊。
高価格ブランドが並ぶラックを触っていたら、comoliのシルク*ステッチなスイングトップもあった。40%オフ、2buyだと44%オフで5万円ちょっと。安いなと思いつつ、最近はネイビーじゃない気もするな〜…と更にラックをカチャカチャ。そこで見つけてしまった(?)シャツ。
Cristaseya × Salvatore Piccolo Handmade Mao Shirt With Fringed Collar
イタリア人デザイナーが手掛けるクリスタセヤと、イタリアのシャツ職人サルヴァトーレ・ピッコロ。イタリア濃度MAXのダブルネーム。存在こそは知っていたものの、なんしか価格がとんでもないので買おうと考えたこともなかった。
襟が大胆にカットオフされた、その神々しいリゾートなシャツには〈60%オフ〉の寂しいプライスタグが。キャンペーンの併用で66%オフ。
Markawareのデザイナー石川さんが最近、YouTubeで「4(5)万円を超えるTシャツに正義はない」と言っていた。素材を直に扱うプロと買い物するだけの素人で、正義に対する目線が全く異なることは前提として、個人的に5万円を超えるシャツは買えない。
半年に一回ぐらい言ってる気もするけれど、カジュアルシャツにおいてはコムデギャルソンシャツが手を出せる上限に思う。ポプリン無地で38,000円、ストライプで45,000円、ファインウールで48,000円ぐらい。なんなら、本音はサンリミットが正味の限界だ。フォーエバーのウールシャツもセールで2万円台だったわけだし。
サイズXL。
そんな中、クリスタセヤ×ピッコロは定価10万円弱である。いくらガチ×ガチのブランド同士が作る本気(ガチ)のシャツであろうと、私的な限度額の2倍は優に超えるシャツなど買えるわけがないのだ。それが66%オフだと34,000円ポッキリ。買えるのだ。なので、買うのだ。はい?
結局、4点のアウトレットアイテムを手に入れた妻の合計額より高額の単品アイテムを会計している夫がいた。なんですか?
街で見かける「なんの仕事してるんだろう?」ってタイプの人に近付く気がする。
いや流石に衝動買いだし、ブランドパワーだけで選んでも似合わんかもやん!ピンクのストライプやでぇ!と思って羽織ったところ、我ながら似合ってたのでダメでした。 歩くリゾートです。
白を貴重に、黄色・青・緑でサンドイッチされた薄・濃ピンクを交互に配置したマルチストライプ。実に派手。でも着ていて気恥ずかしい感じもしない。生地はシルキーというよりはカサッと乾いてシワも入りやすい、要はトーマスメイソンっぽい手触り。うっかりブチ抜いてしまいそうな薄い生地は好きじゃないので、このぐらい厚手だと嬉しいもの。
追記:というかこれ、トーマスメイソンそのものなのでは…23SSコレクションの見本ともカラーリングが酷似しているし。
ステッチの美しさはさておき。
袖の縫い付けは手仕事。手縫いの入ったシャツって初めて買ったのよね。甘く加減して縫い合わせるぶん肩周りの動きが良くなるとか、そういうメリットもあるようだが、そもそもがオーバーサイズなので効果的にはいかほどか。
ちなみに肩周り以外はほとんどマシン縫いに見える。ボタンホールも端正な作り。ピッコロのシグネチャーとされる肘の可動域を上げるダーツも無し。クリスタセヤからの指示出しだろうか。だとしたら、肩だけ手縫いにしたのは何故なんだろうってのと、手縫いを排しつつ価格がべらぼうに高くなるのは何故なんだろう。聞くだけ野暮か。
追記:滑らかな貝ボタンは全て根巻きされており、そのおかげか驚くほどスルッと留められる。全シャツメーカーに採用してほしいくらい、素晴らしいディテール!
洗濯、どうするんだろう。
クリスタセヤとのダブルネームで特徴的なカットオフされた襟。 フリンジっぽくホワホワと毛羽立っていて、写真のように凄まじい勢いでホツレが出る。わざわざ縫い付けられていた襟を後から切り落としており、しかも襟の縫い付け位置から後ろ側を高めにカットすることでマオカラーに見せるという手の込みよう。
「擦り切れたの?」「自分で切り落としたの?」「修理するお金ないの?」のツッコミ待ちをしているわけではないが、それなりにインパクトあるビジュアルになるし、知っている人には無地であろうがピンクのストライプであろうが気付かせるディテールとなる。
理想はCristaseyaチームのおじさまでしょう!ちなみに国内でCristaseyaを最も扱っている店の一つであるPORT、汗ビショになるぐらい美しいお店です。
(襟を除けば)なんてことのないバンドカラーシャツだけど、羽織ると大手メゾンのルックみたいな、リラックスした香りが肌に乗る。室内でハンギングするよりも、歩いた際の靡きが美しく映えるシャツ。定価で買えるほど余裕のある生活者でありたいけれど、セールでしか手に取れない労働者として、せめて服のオーラに負けないように喰らい付いていきたいものだ。
ゆらり、のらりくらり。夏は暑いけれど、良いシャツ着て外に繰り出していきましょうな。
踊ってばかりの国、森道市場で良かったので今週末のワンマンにも行きます。とにかくギターの丸山さんに惚れている。全く脈絡のない強烈なノイズを真顔で挟んでくる様がカッコよくてもう。高柳昌行から影響を受けているとインタビューで語っていて、これほど腑に落ちたことはなかった。