Last Resort AB(ラストリゾート・エービー)のVM001を購入した。
夏になると、白いTシャツを着たくなるのは毎年変わっていない。色物のTシャツも好物だが、枚数としては白(それもプリントT)がワードローブを圧倒(圧迫)している。
別に隠すことでもなく、私は大学2年ぐらいまで母が選んだ服を着ていた人間である。当時ハマっていたアイドルのインタビュー目当てで、友人からストリートジャック(SJ)誌を貰い受けたあの瞬間から、自分で衣類を買い集めるようになった。
そのうち、どこでそうなったかは忘れたが、足元は白いスニーカーがベースという考えが定着。中でもスタンスミスは買い替えながら8年ほど絶やすことなく履いている。
ぱちくり。
お洋服にハマりたての当初は、とあるブログが自分にとっての羅針盤的な存在で、合わせ方や買うアイテムについては大いに参考にしたものだった。今は月会費制のnoteに移行されたようだが。
そのブログにおける「白いTシャツに白いスニーカーを合わせると情報が薄くなりやすい」という話がやたらと印象に残っている。別のアクセサリーや素材感でニュアンスを足し引きすれば白同士でも問題なく合わせられる、という内容なのだが、その時から今日まで自分の中で「白×白はやらない」ことが何故か呪いのようにルール化されている。白シャツ、白Tを着るなら黒のレザーシューズや、昔はコンバースやヴァンズ。今なら紺のニューバランスに黒のロシアントレーナー。淡いグリーンのアシックスも。
そうして最近は半ハイテクなスニーカーばかり手にしているが、今になって「もしかしたらローテクの方が好きなんじゃない?」と薄々感づいている。でも冒頭に戻ってスタンスミスやジャーマントレーナーだと白×白だから履けない、じゃあコート系かスケート系から選ぶとなると、個人的な好みはヴァンズのエラ(あるいはオールドスクール)。しかしヴァンズのユース感、似合う似合わないがハッキリあるとも思っていて、OCEANSやUOMOのスナップに登場するアラフォーみたいになれたら良いのだが、私はどうも幼さの方が出てしまうタイプかなと。
「似合わない人間など存在しない」とさえ言われるコンバースのオールスターも同じで、星マークやソールのギザギザ、キャンバス地と白ステッチの組み合わせを年齢とキャラなりにうまく消化できている気がしない。
ぱちくり、ぱちくり。
そこで出会ったLast Resort AB。スケーターの、スケーターによる、スケーターのためのシューズブランド。2020年に創立。
出会ったのは当然とも言うべきか長谷川昭雄さんの影響で、何年か前からAH.Hで存在は知っていたものの買うには至らず。それが先月号のポパイで山積みにされた長谷川さん私物を見てから、少し欲しくなっていた。そして妻と「このスニーカーかわいいね」なんて話をした翌日の通勤電車で前に立った女性が偶然VM003を履いており、確固たる物欲が生まれた。
スケーター用のシューズを私が履くことにいささかの文化的な抵抗があったものの、スケーター以外にも履いてほしいというファウンダー側の想いがあるということがポパイでも記されていて、安心して(?)手を出した。
雑誌の影響かはさておき、3月から始まったDrop 14は大きめ小さめのサイズを除き、在庫がほぼ枯れている。大阪の取扱店も少ないしなぁと困っていたところ、ビームスにオールネイビーのモデルだけ在庫があるとのこと。実物とサイズ感を確かめて、あとは好みの色が出たタイミングで…と考えていたが、試着してみたところ気に入ったのでそのままお持ち帰り。
…元々は「黒のアッパー」「白のソール」というド定番の、いわゆるエラやオーセンティックみたいなモデルが欲しいと思っていたのに、なぜ私はオールネイビーを…?単にほしいモデルがないけど欲しいという気持ちに煽られただけなのでは…?と会計中に何故かドキドキしていた。
しかし帰宅後にしげしげと眺めたり、色んなボトムスを合わせてみたりするうちに「いいかも」「むしろコレだったかも」「というかコレじゃん」と後追いでテンションが上がってきた。
ソールは厚く、羽根周りもクネクネとカーブを描くデザインでキュート。
スケーターがシューズに何を求めるのか、非スケーターの私は詳しく知らないのだが、例によってLast Resort ABもソールを含め丸い造りになっている。
ぱっと見でヴァンズのエラみたく、踝周りにクッション材がありフォクシングテープも太く存在感がある。同じように内羽根タイプだが、ハトメが表にこないのと、アイレット数は同じ27.5cmでもエラが5個に対しVM001は7個。微妙な違いながら、この辺りに私なりの「ヴァンズの似合わなさ」と「VM001のしっくり感」があるように思う。エラはアイレットが少ない分、爪先の面積が広くてぽってりしており、そこに先述したユース感(幼さ)が醸されている。VM001だと爪先が寸詰まりになる分、ちょっとコート系に近寄るというか、細長くてペタンとした造りとのバランスが良いと感じる。
変な話だけどcoenとかグローバルワークとか、こういった形のスニーカーを売っていたりするイメージ。昔、ユニクロUから出ていたキャンバススニーカーも沢山履いたな。これがアローズ、ベイクルーズ系列あたりの大手だともっと色気が出るし、そもそもオリジナルを出さずにアディダスやニューバランスに別注をかける。どちらかといえば無香料のオーラで、そこにスケーター達の本気が用の美として取り込まれたデザインというところがグー。
アッパーは小ぎれいなスエードで、明るすぎず暗すぎないネイビーの色味も好み。ヴァンズのアナハイム(DX)シリーズでも同じくDress Blues(礼装の意)というカラーリングがある。そのオマージュなのか?スケーターにとって何か意味合いのある単語なのだろうか?
フォクシングテープも暗い色合いだけど日光の下だとハッキリとしたネイビー。特徴的な厚めのソールも、当初は白かガムソールが良いのだ!と思っていたが、そうするとまた歳不相応に可愛くなってしまっていたかも。ムーンスターのシューズライクポタリーのような、薄手のソールにスリムなアッパーだと違和感なく履けるんだろうけど、VM001のモッチリした存在感と丸っこさだと、実はソールとアッパーは同色の方が私の体型や雰囲気に合う…そんな気がしている。
全体的に可愛い。
Last Resort ABのアイコンであるロゴはシュータン、インソール、踵のパッチ、そしてソール裏(!)と全身に余すことなく登場。また、太めのシューレースの先端(チップ)にも「Last Resort AB」「Break Free」の表記あり。
ホワイトの替え紐も付属していて、嬉しいことに綿100%素材。今のところは紺のままで。
サイズは27.5cm。細幅で実寸25.7~26.2cmの私で、すっぽ抜けず、キツすぎず、そんな履き心地。割と爪先の天井が低いので、フィット感を求めるあまりにサイズを攻めると爪が圧迫されそうで注意。ソールの屈曲性は良く、オリジナルのクッションインソールが入っていることもあり、ペタッとしたスニーカーながら歩き心地も良い。スケーターのレビューによると、一般的なスケシューと比べても耐久性は高いのだとか。私はシューグーを持っていないし塗る予定もないので、削れるがままに…ということで。
そういえば少し前にXで、コンバースは履いていくうちに屈曲部が割れる(剥がれる)のが嫌だ、というポストがそれなりに反響を得ていて驚いた。ヴァルカナイズド製法ってそういうものじゃん、というのは野暮だろうか。
W33×L30、色はダークネイビー。
ネイビーのスニーカーにはネイビーのチノ、ブルーグレーのイージーパンツ、バギージーンズ、青系統のボトムスがグッドマッチ。
実は体型的に似合うズボンなのではないかということで、ディッキーズの874にも入門した。過去スリムタイプの873を所有していたことはあったが、初の874。W33×L30でジャストフィット。実はVM001を買ったビームスの真横にディッキーズの店舗があって、これ幸いにとW34を試着したところ少しだけ大きかった。サイズアップして穿くという文化があるズボンだが、どちらかといえば尻周りを余らせないジャストフィットで履きたかったのでインチ下げ。どうも信じられないことに、5年前の私は873をW30で穿けていたらしい。ブログは備忘録や振り返り日記として便利だが、時に残酷な現実を突きつけてくる。
ワークパンツといえば、BshopがLeeに別注をかけたポリ65綿35のLeesuresも試着したところ良かった。滑らかで厚みのある生地はまさしくハイグレードな874という印象。Last Resort AB+874、Vans+別注Leeという予算2万円の下半身セットは、個人的にオススメできる組み合わせなんじゃないかと思ったり。
なお874は生地が非常に硬いが、洗濯するうちに柔らくなり、最後は毛玉だらけになって砕け散るイメージがある。日本での販売定価7,700円は若干割高に感じるが、並行輸入屋だと4,000円前後で買える。
Sans Limite, Margaret Howell × Edwin, Last Resort AB
先週末は3日間、まるっとフェス(森、道、市場)で履いてみた。ブラシで掃くだけでは取り切れないほどの砂埃を被り、いきなり履き古したような見た目にはなったが、その歩きやすさには随分と助けられた。さすがに疲労の蓄積度はニューバランスやアシックスには譲るものの、軽快なプリントT、チープな綿ポリのワークパンツといったカジュアルなアイテムとの相性の良さを気に入っている。
意外なことに、森道市場では(私が確認できた範囲で)一人もLast Resort ABを履いていなかった。見かける率だとニューバランスの2002Rが圧倒的で、他にも90/60、990v6、993、991(v2)、サロモンのXT-6、アディダスのサンバあたりが多い。
そういえば、これは誰とも被らんやろ~!と思ってフジロックにロシアントレーナーを履いていったら、到着日の初っ端にポカリスエットの販売列で目の前の人と被ったんですよね。被りを気にした買い物をすればするほど、自分と趣味嗜好が近い人間の集まりで被る確率が上がるジレンマってあるんじゃないかと思う。だから被りを考えず、好きだと感じたもん買うのがベストちゃいますかね。今年度も楽しい購買体験を〜!