近況
昨日、無事に修論の提出が完了しました。
あとは来週の火曜日に行われる、領域内での発表会のみ。
山場は乗り切ったので、ホッと一息…と同時に、6年間(+浪人1年)の学生生活が終わるんだなぁ、という寂しさに襲われています。学割も使えなくなるんだなぁ。
2019年も音楽を聴きまくりたい
1月もあっという間に過ぎ去り、新譜が続々とリリースされています。
まだ脳が2018年モードを抜け切っていないので、僕自身の立ち上がりはゆったり目ではありますが…もたもたしてっと、置いてかれっぞ。
One Night in Karlsruhe / The Michel Petrucciani Trio
Michel Petrucciani (pf)
Gary Peacock (B)
Roy Hanes (Dr)
Live Recorded in 1988/7/7
Michel Petrucciani(ミシェル・ペトルチアーニ)
1980年代に壮年期を迎えているジャズメン…パッと思いつく人を挙げると、ジョー・ロヴァーノ、ジョン・スコフィールド、スティーヴ・グロスマン、ジョン・パティトゥッチ…あたりは、実はあまり聴いてこなかったのです。周りにこの年代の熱狂的なファンが少なかったからかもしれません。
フランス出身のピアニスト、故ミシェル・ペトルチアーニも、そんな80年代のジャズシーンに活躍した1人。リーダー作を含め、ほとんど未聴だったように思います。
本作は
今年の1月にリリース(再発?)された、1988年のドイツ・カールスルーエにおけるミシェル・ペトルチアーニ・トリオの一夜を捉えたライブ盤。ベースはゲイリー・ピーコックにドラムはロイ・ヘインズという、ペトルチアーニより世代が二回り上のベテラン達。
当時のペトルチアーニは、今の僕と同じ25歳。ひどくショックを受けました。出る音が20代中盤のソレではないんですよ。
出音の強さ
「喜び」・「怒り」の様な感情や「雨の日の濡れたアスファルト」・「照りつける太陽」の様な情景を、たった一つの音で表現してしまう…『音に込められる情報量』が特異的に多いミュージシャンというのは存在すると(勝手に)思っています。どういった感情・情景が浮かぶかは人によってトーゼン違うし、その時々のキモチによっても様々ですが、そういった人の演奏は得てして心に残りやすい。何か特別な仕掛けがないスタンダードな演奏であったとしても。
この盤でのペトルチアーニは、はち切れんばかりに情報量が多くて、耳を通して聴いているのに目が痛くなるほどの眩しさを感じ、キーボードで文字を打つ手がいちいち止まってしまう。曲のテーマ、インプロのフレーズ、バッキングのコード、一つ一つが脳にぶっ刺さる。
36歳の若さで生涯を閉じたペトルチアーニは元々「20歳まで生きられるか分からない」とも言われた、先天性の骨形成不全症を患っています。フランス人の平均寿命が80歳なのに対し、その半分も生きられなかったことになります。この演奏から伝わってくる情報量の多さは、若くして自分の死期をある程度は悟っていたペトルチアーニが、生きるかもしれなかった数十年分の人生を「前借り」した結果なのカモ。
後天的な病で亡くなったジョン・コルトレーンの''Olatunji Concert: The Last Live Recording''、ビル・エヴァンスの''Consecration''の「命のロウソクを最後に火炎放射器で炙って灰にする」ような苛烈な美しさとはまた違う、生まれ持った運命(病)と真正面から向き合って生まれた美しさ。
なんてね
…な~に分かったような口を利いてんだ。
簡単に述べると、めっちゃいいし年間ベスト間違いなし、ってことですわね。うむ、一行で済みました。
個人的なベスト曲は
スタンダードナンバーのM2''There Will Never Be Another You''、M3''In a Sentimental Mood''およびM9''Giant Steps''。大掛かりなコードやリズムのアレンジがなく、素材=ペトルチアーニ自身の音をよく味わえます。なんでもアリな音楽で溢れ返っている2019年だからこそチョイと立ち止まって聴きたい、王道でシュプリームなハードバップ。
コンセクレーション~ザ・ファイナル・レコーディングス・ライヴ・アット・ザ・キーストン・コーナー Vol.2
- アーティスト: ビル・エヴァンス,マーク・ジョンソン,ジョー・ラバーベラ
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2002/09/21
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Olatunji Concert: The Last Live Recording
- アーティスト: John Coltrane
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- 発売日: 2001/09/25
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